スマレジを続けるか、タッチオンタイムに移すかの分かれ目
スマレジ・タイムカードからタッチオンタイムへの乗り換えは、機能表を並べても決まりません。決め手は二つだけです。レジと勤怠を同じところでまとめておく必要が今もあるか、そして打刻する端末を誰の持ち物にするか。ここが片付けば、あとは動かす月をどこに置くかという段取りの話になります。
まず決めるのは、レジと勤怠をつないでおく必要があるか
スマレジ・タイムカードが効くのは、店でスマレジのPOSを使っていて、レジを開けるためにiPadに触る動作の延長で出勤を押せる会社です。朝いちばんに触る端末がそこにあるから、打刻が習慣になる。逆に言うと、レジの前を通らない人が増えるほどこの強みは薄くなります。本部の事務、倉庫、訪問の担当者が増えてきた会社では、もうレジ連携のために我慢する理由がありません。
だから最初の質問は「今後もスマレジのPOSを使い続けるか」です。使い続けるつもりなら、勤怠だけ他社に移す積極的な理由は弱い。POSそのものを入れ替える検討をしているなら、勤怠も同じ時期に並べて考えてください。POSを替えてから勤怠だけ取り残すと、打刻のためだけに古い端末を一台残す、という無駄な状態が何年も続きます。
不満の中身を三つに分ける
「使いにくいから替える」で動くと、移った先で同じことが起きます。今の不満がどれなのかを先に分けてください。打刻そのものが取れていないのか、集計して給与ソフトに渡すところで手が止まるのか、それとも費用なのか。この三つは対処がまったく違います。
打刻が取れていない場合、原因は器ではなく置き場所のことが多い。端末がバックヤードの奥にあって動線から外れている、休憩の打刻ルールを誰も決めていない、というだけで押し忘れは増えます。入口に移して、休憩の押し方を紙に書いて貼るだけで消えることがある。それでも残るなら、はじめて器の話になります。
集計で止まっているなら、締め日や雇用区分の設定が実態と合っていないだけかもしれません。費用が理由なら、人数の数え方によって逆転することがあるので、後述の見方で比べてください。
スマレジのままで困らない会社
店舗が一つか二つ、全員が出勤時にレジ前を通る、シフトを組む人とレジを締める人が同じ。この形なら、乗り換えの手間のほうが大きくなります。移行には周知、打刻の練習、並行期間の確認、給与ソフト側の再設定がもれなく付いてきます。そのすべてが、誰かの夜の時間です。
「打刻漏れが多い」という理由だけで動くのは危ない。押し忘れは人の癖と動線の問題なので、システムを替えても同じ人が同じように忘れます。替えて直るのは、端末の数が足りない、私物のスマホを使わせられない、といった物理的に詰まっている場合です。
タッチオンタイムに移したほうがいい会社
据置きの打刻機を置きたい会社です。タッチオンタイムは専用のタイムレコーダーを置いて、指紋やICカードで打刻する使い方が用意されています。私物のスマホを業務に使わせたくない、スマホを持たない従業員がいる、共有のiPadの取り合いになる。こういう現場では、入口に一台置けるかどうかが日々の摩擦を決めます。
もうひとつは、拠点が増えてレジのない場所での打刻が主になってきた会社。倉庫や事務所、直行する現場が混ざってくると、レジと同じ画面で完結する意味が小さくなります。そうなったら勤怠単体で選び直すほうが素直です。裏返すと、レジ前打刻で回っているうちは急いで動く必要はありません。
費用はどこで比べるか
どちらも利用する人数で変わる課金が基本なので、比べるべきは単価より人数の数え方です。在籍している人を数えるのか、その月に実際に打刻した人だけを数えるのか。アルバイトが季節で大きく増減する店だと、ここの違いで一年分の負担が変わります。最新の料金と数え方は、記事末尾の公式ページで必ず確認してください。
打刻機を置くなら本体の費用が別にかかります。それと、今の契約が年額の前払いになっている場合、途中で移すと重なる期間が出ます。ただし重なりを嫌って中途半端な時期に動くと、締め日と合わずに集計を手作業でつなぐ羽目になる。費用の差が小さいなら、締め日を優先してください。
動かす月をいつに置くか
本番開始は締め日の翌日です。月の途中で切り替えると、その月だけ二つのシステムから出力して手で足すことになり、そこで出た残業時間の食い違いを一人ずつ確認する作業が発生します。これが移行で一番評判を落とすところです。
避けたいのは、年末調整の書類集めと重なる時期、店の繁忙期、有給休暇を一斉に付与している会社ならその直前、そして新人がまとまって入る月。新人に旧システムの押し方を教えて、翌月に教え直すことになります。狙い目は、人の出入りが落ち着いていて、締めから給与支給日までに余裕がある月です。
そして、旧システムは最初の給与計算が終わるまで解約しない。新しい方の集計がおかしいと気づくのは、たいてい給与を計算している最中です。そのとき前の数字を突き合わせられるかどうかで、調べる時間が変わります。
切り替えで手元に残らないもの
過去の打刻記録は、解約前にCSVで落として保管してください。労働時間の記録は法律で保存期間が決められているので、画面から見えなくなってから気づくと面倒なことになります。退職者の分も含めて落とすこと。
移行のとき、自動では引き継がれず手で入れ直すことになりやすいのは次のあたりです。
- 締め日と給与支給日の設定
- 雇用区分ごとの所定労働時間と休憩のルール
- 残業や深夜の割増の設定
- 有給休暇の付与基準日と現在の残日数
- 給与ソフトに渡す出力フォーマット
特に有給の残日数は注意してください。前のシステムと新しいシステムで時間単位の扱いや端数の処理が違うと、移した瞬間に数が変わって見えます。移す前の残日数を紙かPDFで残しておけば、従業員に聞かれたときに根拠を出せます。聞かれてから探すと、まず出てきません。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
スマレジのPOSは使い続けたまま、勤怠だけタッチオンタイムに移せますか
勤怠は独立して動かせるので、レジをスマレジのまま残して勤怠だけ別にすること自体はできます。ただし売上と人件費を同じ画面で並べて見る運用は分かれます。日次で人時売上高を追っている店なら、月末に両方から出力して表計算で突き合わせる作業が新しく発生する点は見込んでおいてください。
打刻機は何台置けばいいか、どう見積もればいいですか
出入口の数ではなく、朝の同じ時間帯に打刻が重なる人数で決めます。開店前に全員がまとまって来る店なら一台では列ができ、結局スマホ打刻に逃げる人が出ます。対応する打刻方法や機種の種類は変わることがあるので、記事末尾の公式ページで最新の一覧を見てください。
並行運用の期間は、従業員に両方打刻させるべきですか
両方押させると必ず片方を忘れる人が出て、どちらが正しいのか分からなくなります。新しい方を本番と決め、旧システムは過去分の参照だけに使う形が扱いやすいです。並行させるとしても、締め日をまたがない短い期間に限ってください。