KING OF TIMEからタッチオンタイムへ、替えどきの見極め
KING OF TIMEを使っていて、タッチオンタイムに替えようか迷っている。この段階でまず決めるべきなのは乗り換え先ではなく、いまの何が不満かです。不満の中身によっては、システムを替えても同じことが起きます。順番に切り分けます。
いまの不満は、システムのせいか運用のせいか
勤怠システムを替えたいという相談で一番多いのは「毎月の修正が終わらない」です。打刻漏れの申請が月末に山になり、管理者が一件ずつ承認して、それでも合わない人に電話をかける。この作業がしんどいから替えたい、という話。ただ、打刻漏れそのものはシステムを替えても減りません。減るのは、打刻機が遠い・立ち上がりが遅い・認証に失敗するといった、物理的に押しづらい理由があるときだけです。
逆に、システム側の作りが原因になっているケースもはっきりあります。休憩の自動控除や残業の丸めが自社のルールと合わず、毎月エクセルで直している。給与ソフトに渡すCSVを毎回加工している。管理画面の階層が深くて、店長クラスが自分の店の残業を見られない。こうした「設定でどうにもならない」不満は、乗り換えで解消する可能性があります。まず紙に、直近の締めで手作業になった箇所を全部書き出してください。書き出さないまま比較を始めると、営業資料の機能一覧を眺めるだけで一日が終わります。
どちらを使い続けるかは、打刻の現場で決まる
両方ともクラウド型で、パソコン・スマートフォン・専用の打刻端末に対応しています。管理画面で締めて、給与ソフト向けにデータを出す流れも大きくは変わりません。差が出るのは機能表ではなく、打刻機を実際にどこへ置くかです。
たとえば工場の入口や厨房の裏に打刻機を置きたいが、そこにパソコンを置くスペースも配線もない。この条件だと、端末単体で完結する構成が取れるかどうかが決定打になります。逆に事務所のパソコンから各自が打刻していて、外勤はスマートフォンという会社なら、端末の話はほとんど関係ありません。この場合の比較軸は、申請と承認の画面が現場の店長にとって迷わないか、という一点です。いま対応している打刻機器の種類と構成は改定されることがあるので、記事末尾の公式ページで、置きたい場所に置ける形かを確認してください。
移行で手間がかかるのは、データより設定
過去の打刻データは、たいてい旧システムからCSVで出せます。ただし、それを新しい側の過去履歴としてそのまま取り込めるとは限りません。実務では取り込みを狙わず、旧システムのデータはCSVとPDFで出して保管し、新しい側は切替日からの記録だけを持つ、という割り切りが早いです。労働時間の記録には法定の保存義務があるので、出力したファイルは年月と会社名を付けて、給与データと同じ場所に置いてください。保存期間は改正が入ることがあるため、そこは最新の情報で確認してください。
時間がかかるのは設定のほうです。所定労働時間、休憩の付け方、深夜と法定休日の判定、残業の丸め、有給の付与日と時間単位の扱い。KING OF TIMEで何年か運用していれば、これらは誰も覚えていない形で積み上がっています。新しい側で同じ結果を出すには、いったん全部を言葉にして書き出す必要があります。ここを飛ばして「だいたい同じ設定」で走らせると、切替後の最初の締めで残業時間がずれ、原因を探すのに数日かかります。
切り替えに向くタイミング、避けるべきタイミング
切替日は締め日の翌日にしてください。これは例外なしです。締めの途中で切り替えると、その月だけ二つのシステムの数字を人間が足すことになり、給与計算の根拠が説明できなくなります。監督署や社労士に聞かれたときに、どちらの記録が正なのかを示せない状態は避けたい。
その上で、避けたい時期があります。繁忙期、給与体系を変える月、人がまとまって入る月です。新人研修と打刻の登録が重なると、教える側が両方を抱えて回らなくなります。逆に向いているのは、期の変わり目の少し前です。就業規則や賃金の見直しを予定しているなら、その施行に合わせて新しい側に設定を入れるほうが、設定作業が一度で済みます。忘れられがちなのは有給の付与タイミングで、付与日をまたぐ切替は残日数の引き継ぎ確認が増えるため、可能なら外してください。
料金の差はどこで出るか
どちらも利用する人数に応じた課金が基本で、ここだけを見ると差はさほど大きくなりません。総額が動くのは別の要因です。一つは打刻端末の費用で、買い切りなのか月々の負担に含まれるのか、故障時にどうなるのかで数年分の総額が変わります。もう一つは、休職者やアルバイトを課金対象に数えるかどうかの数え方です。季節で人数が大きく動く商売だと、ここの解釈で毎月の請求が変わります。
最初のひと月は、旧システムと新システムの両方に料金が発生します。並行稼働を短く切ろうとして失敗するくらいなら、この重複は最初から予算に入れておいてください。具体的な金額と、端末やオプションの扱いは改定されるので、記事末尾の公式ページで最新の条件を確認してください。
乗り換えないほうがいい場合
シフトや変形労働時間制の設定を何年もかけて作り込んでいる会社は、慎重になったほうがいい。移す作業そのものより、移した後で「去年と数字が違う」と現場から指摘が出たときの検証がきついからです。この場合は、まず現行の設定でどこまで直せるかをサポートに具体的な症状で問い合わせてください。「使いにくい」ではなく「この勤務パターンでこの数字が出る、こうしたい」と書けば、設定で解決する話かどうかは返ってきます。
もう一つ、担当者が一人しかいない会社。切り替えは、その人が通常業務に上乗せで数週間背負う作業です。決算や繁忙期と重なる時期に始めると、途中で止まって旧システムと新システムが両方中途半端に動く、いちばん悪い状態になります。人手が取れないなら、時期をずらすほうが結果的に安く済みます。
移行を決めたあとの段取り
順序を間違えなければ、切り替え自体は難しくありません。設定を入れて、管理者だけで一巡試して、それから従業員を登録する。この順番を逆にして先に全員を登録すると、設定を直すたびに全員の打刻データが壊れ、やり直しになります。
従業員への告知は、切替日の直前ではなく、試し打刻が終わった段階で出してください。「いつから」「どこで押すか」「押し忘れたらどうするか」の三点だけを一枚に書いて掲示すれば足ります。機能の説明はいりません。現場が知りたいのは、朝いつもの場所で押せるのかどうかだけです。最初の締めは、旧システムの同じ期間の数字と突き合わせて、ずれた人が出たら設定に戻る。ここまでやって、旧システムのデータを出力してから解約します。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
旧システムの契約はいつ止めればいいですか
新しい側で一締め分を回し切り、その締めの給与計算が確定するまでは残してください。解約は月単位で受け付ける形が多く、締めの翌月まで見ておくと安全です。解約手続きの前に、打刻データと従業員マスタを必ず出力しておいてください。解約後は管理画面に入れなくなり、出力し直せません。
従業員の指紋やICカードは、そのまま引き継げますか
認証情報は端末や仕組みに紐づくため、登録し直しになると考えておいてください。朝礼や全体会議など、全員が揃う場を一度押さえて一気に済ませるほうが早く終わります。指紋の登録に抵抗がある従業員が出ることもあるので、カードやパスワードなど代替の打刻手段を先に決めておくと止まりません。
給与計算を外注しているのですが、いつ伝えるべきですか
切替日を決めた時点で伝えてください。勤怠データのレイアウトが変わると、先方の取り込み作業や検算の手順が変わります。締めの直前に伝えると、その月だけ手作業が発生して締めが遅れます。テスト出力を一度渡して、読める形か確認してもらうのが確実です。