KING OF TIMEとタッチオンタイム、選ぶ前に決める三点
両方の資料を並べると、機能表はほとんど同じに見えます。打刻できる、残業と有休を集計できる、給与ソフトに渡すCSVを出せる。ここで差はつきません。差が出るのは、朝いちばんに打刻でつまずいた人が出たとき誰が対応するのか、月末の締めが何時間で終わるのか、という運用のほうです。
機能表を見比べても決まらないのはなぜか
クラウド勤怠はどこも一通りのことができます。ICカードでも生体認証でもスマホでも打刻でき、時間外の集計も有休の残日数管理もできる。比較表を作ると丸が並ぶだけで、結局どちらにするかは決まりません。決まらないまま検討が止まり、タイムカードのまま半年が過ぎる会社をよく見ます。
導入後に効いてくるのは、機能の有無ではなく three つの現実です。ひとつは、打刻を受ける場所。もうひとつは、毎月の締めを実際にやる人が誰か。最後が、自社の就業ルールがどれだけ入り組んでいるか。この三つが決まっていないと、どちらの製品を試しても「よさそうですね」で終わります。
何を先に決めれば比較できるようになるか
まず打刻の場所です。厨房やバックヤードに入る前に全員が通る扉があるなら、そこに据置きの機械を一台置くのがいちばん揉めません。逆に、朝から現場へ直行する人や複数拠点を回る人がいるなら、機械を置く場所自体が決まらないので、スマホでの打刻を中心に組むことになります。ここを曖昧にしたまま製品を選ぶと、後から打刻機を買い足すか、位置情報の運用ルールを作り直すかのどちらかになります。
次に、締めをやる人。社長が自分で見るのか、事務の人がいるのか、社労士に渡すのか。設定画面が細かい製品は、作り込めば自社の就業規則にぴったり合わせられますが、それを作る人が要ります。作れる人が社内にいないなら、シンプルな画面で必要な集計だけ出るほうが結果的に長く続きます。
三つ目が就業ルールの数です。正社員とパートで締め日が違う、月の途中でシフトが変わる、変形労働時間制を取っている、深夜の割増がある。こうした条件が三つ四つ重なる会社は、設定の自由度がそのまま導入の可否になります。逆に全員が同じ時間帯で働く会社なら、自由度より画面の分かりやすさを優先して構いません。
KING OF TIMEが向くのはどんな会社か
打刻の手段が幅広く、拠点や雇用形態がばらついていても一つの管理画面にまとめられるのが強みです。本社はPC、店舗はICカード、外回りはスマホ、というように人によって打刻方法が違っても、集計は同じ画面で見られます。拠点が三つ四つに増えていて、それぞれ勤務形態が違う会社には合います。
裏返すと、設定項目が多いということでもあります。就業ルールの雛形を自社に合わせて作り込む工程が必ず入るので、その時間を誰かが取れるかを先に考えてください。社労士が入っている会社なら、初期設定だけ一緒に組んでもらうと立ち上がりが早くなります。誰も手を付けられないまま初期設定が半端に終わると、毎月の締めで手作業の補正が残り、タイムカード時代と大差ない状態になります。
タッチオンタイムが向くのはどんな会社か
専用の打刻機一台で、指紋でもICカードでもパスワードでも打刻を受けられるのが分かりやすい特徴です。現場には、カードをよく忘れる人も、手荒れで指紋が読みにくい人もいます。全員をどれか一つの方法に統一しなくていいので、「打刻できませんでした」と朝から言われる回数が減ります。入口に一台置いて終わり、という導入の単純さは、機械が苦手な人が多い職場ほど効きます。
管理画面も込み入っていないので、事務の人がひとりで締めを回す体制には向きます。一方で、全員が外に出ていて店舗も事務所もない業態だと、専用機の利点がそのまま活きるわけではありません。据置きの機械を置く場所があるか、その一点で向き不向きがはっきり分かれます。
料金は人数の数え方で変わる
金額そのものより先に確認すべきは、何人分を数えるかです。登録している従業員全員で数えるのか、その月に実際に打刻した人だけで数えるのかで、繁忙期だけ人が増える飲食や小売では毎月の請求が変わります。学生アルバイトが試験期間に休む月、季節で人数が上下する会社は、ここを聞かずに契約すると想定と違う請求書が来ます。
打刻機を使う場合は、買い取りかレンタルかも運用に響きます。壊れたときに代替機がどれくらいで届くのか、その間の打刻はどうするのか。朝の出勤時に機械が止まると、その日は紙に書いてもらうしかありません。最新の料金と機器の扱いは条件で変わるので、記事末尾の公式ページで確認してください。
無料期間に、締めを一回だけ通す
試用期間に画面を眺めるだけで終える会社が多いのですが、それでは判断材料になりません。やるべきことは一つ、締めを一回通すことです。実際の従業員の中から働き方の違う三人を選び、数日でいいので本当に打刻してもらい、締め日を仮に設定して集計まで出す。ここまでやると、自社のルールが入りきらない箇所が必ず一つか二つ見つかります。
そのとき同時に見ておきたいのが、打刻を忘れた人の修正がどう流れるかです。本人が申請して上長が承認するのか、事務が直接直すのか。毎月いちばん時間を食うのはこの修正作業で、集計そのものではありません。
- 働き方の違う従業員三人分を、実際に打刻してもらう
- 仮の締め日で集計を出し、給与ソフトに取り込むところまでやる
- 打刻忘れの修正と承認を一度回してみる
- スマホから見た画面を、実際に使う従業員に触ってもらう
それでも決めきれないときの決め方
最後は、毎月触る人に両方を触らせて選ばせてください。社長が機能で決めて、事務の人が使いこなせずに紙に戻る、という失敗がいちばん多い。触る人が「こっちのほうが分かる」と言ったほうを選べば、少なくとも運用は止まりません。
切り替える場合は、締め日の区切りで一気に移すのが原則です。月の途中で並行運用すると、どちらが正の記録か分からなくなり、給与計算のときに二度手間になります。過去の打刻データを新しいシステムに持ち込むかどうかは会社によって変わりますが、持ち込まずに旧システムの出力を保存しておく形で足りることが多い。移行の手間を減らしたいなら、そこは割り切ったほうが早く終わります。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
どちらも無料で試せますか。試用中に作った設定はそのまま使えますか
両社とも試用の仕組みを用意しています。申し込みからアカウントが発行されるまでに数日かかることがあるので、締め日から逆算して申し込んでください。試用で作った従業員データや就業ルールを本契約にそのまま引き継げるかは会社側の運用によって扱いが変わるため、申し込み時に必ず聞いておくと、同じ設定を二度作る手間が防げます。
店舗が増えたとき、打刻機は追加や移設ができますか
どちらの方式でも追加はできますが、確認するのは機械そのものより設置環境です。有線LANが要るのか無線で足りるのか、電源をどこから取るのか、レジ横に置くスペースがあるのかを先に見ます。レンタルか買い取りかで故障時の代替機の出方も変わるので、二店舗目の予定があるなら契約前に条件を聞いておいてください。
今使っている給与計算ソフトに、そのままデータを渡せますか
どちらもCSVでの受け渡しが基本です。問題になるのは出力できるかどうかではなく、項目の並びや区分が自社の給与ソフトの取り込み形式と合うかです。深夜や休日の割増、締め日をまたぐ手当の扱いは会社ごとに違うので、試用期間に一度実際のデータで出力して、給与ソフトに取り込むところまで通してください。