スマレジが値上げ。判断軸を先に決めてから比べる
値上げの案内が届くと、まず「いくら上がるか」を計算したくなる。だがそこから入ると結論が出ない。上がった分を飲めるかどうかは、いま払っている額ではなく、替えたときに社内の何が壊れるかで決まるからだ。ここでは判断軸を先に三つ置いて、そのうえで「そのまま続ける」「契約を削って続ける」「他社へ移す」のどれに当てはまるかを当てていく。
通知が来たとき、料金より先に確認するところ
案内には、何がどう変わるのかが書いてある。基本料なのか、アカウント単位の課金なのか、特定のオプションだけなのか。ここを読み違えると、自社には関係のない項目に振り回されて一週間つぶすことになる。料金体系は改定されるので、最新の内容は記事末尾の公式ページで確認してほしい。
次に自社の契約内容を出す。管理画面を開いて、契約中のプラン、有効な店舗、有効なアカウント、追加しているオプションを一覧にする。この作業をすると、辞めた人のアカウントが有効のまま残っていたり、たたんだ店舗の分が生きていたりすることがよくある。値上げの前から払わなくていい金を払っていた、という話で終わる会社も実際にある。だから値上げ幅の計算は、この棚卸しの後でいい。
判断軸は三つ。ここで結論のほとんどが決まる
一つ目は、レジの売上と勤怠を同じ会社でまとめているかどうか。POSの売上を見ながら人件費率を出してシフトを詰めている店は、勤怠だけ他社に抜くと、その画面が消える。月末に店長が売上日報とシフト表を並べて電卓を叩く作業が戻ってくる、という具体的な形で跳ね返る。
二つ目は、打刻をどう取っているか。店舗に据えたタブレットで顔認証やパスコード打刻をしているなら、移行は端末の入れ替えを含む話になる。設置し直し、Wi-Fi、スタッフへの説明までが一式だ。一方、全員が自分のスマホで打刻しているなら、移行の重さは半分以下になる。
三つ目は、締め処理を誰がやっているか。社長が一人で締めているなら、覚え直すのは一人分で済む。店長が何人もいて各自が承認しているなら、教育の手間が人数分かかり、しかも最初の一、二か月は必ず打刻漏れと修正申請が増える。給与計算を社労士や外部の給与ソフトに渡している場合は、出力レイアウトが変わることで先方の作業が増える点も先に伝えておかないと揉める。
そのまま続けたほうがいい会社
レジ連携を日常的に使っている会社は、値上げを飲む側に寄る。人件費率を見てその日のうちに上がり時間を調整しているような店では、連携が切れた瞬間に判断材料が減る。値上げ分は「金の増加」ではなく「その判断を手放す代金」と比べたほうが、腹の決まりが早い。
もう一つ、直近で出店や大きな採用を控えているときも動かないほうがいい。新店の立ち上げと勤怠の切り替えが重なると、並行して走らせる余裕がなくなる。切り替えで事故るのはたいてい、並行運用の月を確保できなかったケースだ。値上げは毎月じわじわ効くが、給与を間違えると一回で信用を落とす。
契約を削って続けるという道
替えずに負担を下げる余地は、思ったより残っている。棚卸しで見るのはこのあたりだ。
- 退職済みなのに有効のままのアカウント
- 閉店・休業した店舗、使っていない拠点の枠
- 試しに入れて定着しなかったオプション
- 他社サービスと機能がかぶっている部分(シフト作成や申請ワークフローなど)
削るときに一つ注意がある。アカウントを「削除」すると、その人の過去の打刻履歴まで参照できなくなる場合がある。労働時間の記録は一定期間の保存が要るので、削除ではなく無効化で課金対象から外せるかを先に確認する。閉店した店舗も同じで、消す前に過去分を出力しておかないと、後から労基署や社労士に聞かれたときに出せない。
続けた場合と替えた場合、コストはどこで逆転するか
比較は月額でやらない。年額に直したうえで、移行にかかる一時費用を足す。一時費用に入るのは、初期設定と従業員データの登録、打刻端末の購入、スタッフへの説明、切り替え月の二重払い、給与ソフト側の取り込み設定の作り直し。これを足すと、値上げ後の差額が一年では回収できないことがしょっちゅうある。
逆に、アカウント単位の課金で人数が多い会社は差が開きやすい。パートを含めて登録人数が膨らんでいる飲食や小売は、ここで判断が変わる。金額そのものはその時点の体系によるので、記事末尾の公式ページで確認したうえで自社の人数を掛けて出してほしい。
移すと決めたら、何が引き継げないか
打刻の生データはCSVで出せることが多い。ただし、出せることと、新しいシステムがそのまま取り込めることは別だ。実務で手入力になりやすいのは、有給の残日数、締め済み月の集計値、シフトのパターン設定、申請と承認の履歴あたり。特に有給残は間違えると労使トラブルに直結するので、移す前に一人ずつ紙に出して突き合わせる。
過去データは自社の手元に落としておく。解約するとログインできなくなり、後から「あの月の打刻を見たい」と言われても取り出せない。月別の勤怠集計をPDFで、打刻の明細をCSVで、給与計算の根拠として残る形で保存しておく。クラウド上にあるから安心、という前提は解約日で切れる。
動くなら何月か
原則は締め日の翌日開始。月の途中で切り替えると、同じ月の勤怠が二つのシステムに分かれ、給与計算で必ず手集計が発生する。ここを横着して、初月から残業代の計算を間違えた会社を何度も見ている。
そのうえで、年末調整の時期と自社の繁忙期は外す。飲食や小売なら年末年始とセール期、建設なら年度末の追い込み。もう一つ、解約の申し出をいつまでにすればいいかは契約書に書いてある。更新日をまたぐと次の契約期間分をまるごと払うことになるので、比較検討に入った時点で解約条件を先に読んでおく。移行の可否を検討している間に更新日が過ぎた、というのが一番もったいない失敗だ。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
レジ(POS)側は使わず勤怠だけ使っている場合も、同じ考え方でいいですか
軸が一つ減るので、判断はかなり単純になります。レジ連携を使っていないなら「連携が切れて困る」という引き止め要因がないぶん、打刻の取り方と締め処理をする人の数だけで比べられます。ただし契約形態や申し込み単位は会社ごとに違うので、勤怠単体での契約条件は記事末尾の公式ページとサポート窓口で確認してください。
閉めた店舗の分がまだ課金されている気がします。自動で止まりますか
多くの勤怠サービスは、店舗や拠点を使わなくなっても自分で無効化するまで契約は残ります。閉店の連絡を入れただけでは課金対象から外れないこともあるので、管理画面の有効な店舗・アカウント一覧を実際に開いて数えてください。過去の打刻履歴を残したい場合は、削除ではなく無効化で対応できるかを先に確かめるのが安全です。
値上げを理由に価格交渉はできますか
少人数の会社が個別に単価を下げてもらえる例は多くありません。現実的なのは、支払い周期の見直しや、使っていないオプションを外して実質の負担を下げる方向です。プランの組み替えで下げられる余地があるかどうかはその時点の料金体系によるので、記事末尾の公式ページで最新の内容を見てから問い合わせてください。