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建設業が請求書ソフトを選ぶときに外せない要件

公開 2026-07-28 · 請求書発行

建設業の請求書は、一枚の紙としては単純です。難しいのはその前後で、いつ出せるかが出来高で決まり、いくら入るかが元請の締日と支払サイトで決まる。ソフトを選ぶときは、この二つを扱えるかを先に見てください。

一つの工事を分けて請求できるか

工期が数か月にわたる工事では、完了してから一度に請求する形は現実的ではありません。出来高に応じて分けて請求する、あるいは着手時と完了時に分ける。この分割を、ソフトの上でどう表現するかが最初の分かれ目になります。

請求書を毎回ゼロから作る形でも出せますが、それだと工事全体でいくら請求済みかが分からなくなります。同じ工事に紐づけて何回目の請求かを管理できるか、契約額に対する残りが見えるか。ここが見えないと、請求漏れと二重請求のどちらも起きます。どちらも取引先との信用に直結します。

現場を単位にして集計できるか

建設業では、会社全体の売上より現場ごとの収支のほうが判断に効きます。どの現場で利益が出て、どの現場で溶けたのか。これが見えないと、次の見積を作るときの根拠がありません。

ですから請求書ソフトを見るときも、請求書に現場名を書けるかではなく、現場を単位にして横に集計できるかを見てください。現場コードを持てるか、その単位で一覧を出せるか、書き出したデータに現場が列として残るか。この三つがあれば、会計ソフト側と突き合わせて原価まで見に行けます。

請求のしくみを決める順番1. 現場コードを決める(会社の中で一意になる番号。会計側と同じものを使います)。2. 契約額と請求済み額を持つ(残りがいくらかを常に見える状態にします)。3. 取引先ごとの締日を登録する(元請ごとに違います。ここを外すと一か月遅れます)。4. 出来高の根拠を残す(何をもってその割合としたかを、請求書と一緒に保管します)。5. 入金を消し込む(支払サイトが長いぶん、未入金が積み上がっても気づきにくくなります)請求のしくみを決める順番1現場コードを決める会社の中で一意になる番号。会計側と同じものを使います2契約額と請求済み額を持つ残りがいくらかを常に見える状態にします3取引先ごとの締日を登録する元請ごとに違います。ここを外すと一か月遅れます4出来高の根拠を残す何をもってその割合としたかを、請求書と一緒に保管します5入金を消し込む支払サイトが長いぶん、未入金が積み上がっても気づきにくくなります

取引先ごとの締日を登録できるか

元請によって締日が違います。月末締めのところ、二十日締めのところ、現場ごとに書類の提出期限が別に決まっているところ。この差を頭で覚えて運用していると、必ずどこかで一件遅れます。遅れた請求は、そのまま入金が一か月ずれます。

取引先ごとに締日を持てて、締日が近い請求を一覧で出せるか。この機能があるかどうかで、資金繰りの読みやすさが変わります。建設業は支払サイトが長く、出ていくお金が先に立つ業種なので、入金の予定日がずれることの影響が他業種より大きくなります。

インボイスの登録番号を、相手ごとに管理できるか

制度対応の部分は、こちらが発行する請求書に登録番号を載せることと、受け取る側の登録状況を把握しておくことの二つに分かれます。発行の側は、ソフトを使っていれば自動的に載るので難しくありません。

手間なのは受け取る側です。建設業は一人親方や小規模な外注先が多く、登録している先とそうでない先が混在します。取引先の情報として登録番号を持てるか、登録の有無で一覧を出せるか。ここが弱いと、支払のたびに個別に確認することになります。制度の細かい要件は改正されることがあるので、記事末尾の国税庁の特設サイトで最新を確認してください。

紙で受け取る取引先が残る前提で選ぶ

建設業では、取引先の側がデータでのやり取りに移っていないことがよくあります。ファクスで注文が来て、紙で請求書を送り返す。この形が当面続く前提で選んでください。

全部をデータにしようとすると、取引先に負担を求めることになり、関係のほうが先に傷みます。現実的なのは、こちら側の記録はソフトに集約しつつ、出し方は相手に合わせて紙と PDF を選べるようにしておく形です。印刷して封入する前提なら、宛名や様式が郵送に耐えるかも見ておいてください。

見積から請求へ、二度打ちしないで済むか

建設業では、見積を作ってから請求までの間が長く、途中で内容が変わります。追加工事が入る、仕様が変わって単価が動く、数量が実測で確定する。このとき、見積のときに作った明細をもう一度打ち直しているなら、そこは丸ごと削れる作業です。

見積のデータをそのまま請求に引き継げるか、引き継いだあとに数量だけを直せるか。この二つができるだけで、月末の作業がはっきり短くなります。加えて、変更の履歴が残る形なら、後から「この単価はいつ決まったか」を追えます。工事の途中で担当者が変わったときや、精算で認識が食い違ったときに、この履歴が唯一の根拠になります。

逆に、見積を手書きや別のエクセルで作り続けるなら、請求書ソフト側にその機能があっても使いません。どこで見積を作るかを先に決めてから、請求のソフトを選んでください。順序が逆だと、使わない機能に料金を払うことになります。

入金の消し込みまで面倒を見るか

請求書を出すところまでで終わるソフトと、入金の消し込みまで扱えるソフトがあります。建設業は支払サイトが長いので、出しっぱなしにすると未入金が静かに積み上がります。

消し込みの機能が無くても回せますが、その場合は通帳と請求の一覧を突き合わせる作業が毎月残ります。どちらを選ぶにせよ、未入金の一覧をいつ誰が見るのかは決めておいてください。決めていないと、気づくのは相手の資金繰りが悪化した後になります。

建設業では、元請の支払が止まる兆候が下請に届くのは遅れます。現場は動いていて、書類も普段どおりに回っているのに、入金だけが遅れている。この段階で気づけるかどうかで、次の工事を受けるかどうかの判断が変わります。未入金の一覧は経理の作業ではなく、経営の情報として見てください。見る日を月に一度決めて、そこだけは他の仕事を入れないようにするのが現実的です。

比べるときは、自社の一番面倒な一枚で試す

最後に選び方です。デモや無料期間で試すとき、簡単な請求書を一枚作って終わりにしないでください。判断できません。試すべきは、自社で一番面倒な請求です。分割の三回目で、値引きがあって、現場が二つにまたがっているもの。それが素直に作れるなら、日常の請求は問題なく回ります。

料金とプランの内容は各社の公式ページで確認してください。この記事では金額を書いていません。発行できる枚数や登録できる取引先数でプランが分かれていることがあるので、現在の件数ではなく、二年後の件数で見ておくと選び直しになりません。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

元請から指定の様式で出すよう言われています。ソフトは使えますか

様式が指定されている取引先が一部なら、その分だけ指定の様式で出し、残りをソフトで出す形が現実的です。全部を一つに揃えようとして、ソフト側で無理に様式を再現すると手間が増えます。分けて考えてください。

現場ごとの利益は請求書ソフトで分かりますか

請求の側だけでは分かりません。出ていくお金、つまり材料費と外注費を同じ現場の単位で拾って初めて見えます。会計ソフト側で現場を部門として持つか、両方を同じ現場コードで揃える設計が要ります。

常用で入っている職人への支払いは請求書ソフトで扱いますか

こちらが受け取る側なので、請求書ソフトの発行機能ではなく受け取った請求書の保存側の話になります。保存の要件は取引の形によって変わるので、記事末尾の国税庁のページで確認してください。