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飲食店が勤怠管理システムを選ぶときに外せない要件

公開 2026-07-28 · 勤怠管理

飲食店の勤怠が難しいのは、人数が多いからではありません。一日のなかで人が入れ替わり、シフトが日付をまたぎ、休憩が細切れになるからです。この三つを受け止められないシステムは、入れたあとに手作業が残ります。

日付をまたぐ勤務を一つとして扱えるか

夜からラストまでの勤務は、退勤が翌日になります。ここでシステムが「出勤した日」と「退勤した日」を別の勤務として記録してしまうと、集計が根本から崩れます。一日の労働時間が二つに割れ、深夜の時間帯の集計も合わなくなります。

デモを見せてもらうときは、この形を必ず試してください。カタログに対応と書いてあっても、設定が要る場合や、締め時刻の指定によって挙動が変わる場合があります。自分の店の実際の営業時間を伝えて、その条件で動かしてもらうのが確実です。ここを確認せずに導入して、初月の給与計算で気づくのが最も痛い進み方です。

休憩が分断される形に耐えられるか

飲食店の休憩は、まとまって取れないことがあります。昼のピークが引いたら少し、仕込みが終わったらまた少し、という取り方です。システム側が休憩を一日一回しか記録できないと、実態と帳簿がずれます。

ずれた状態を放置すると、労働時間が実際より長く記録されるか、逆に短く記録されます。どちらもまずいのですが、短く記録されるほうが問題です。休憩の取り方と記録のしかたは、後から本人が申し出たときに説明できる状態にしておいてください。休憩を複数回に分けて打刻できるか、あるいは自動で控除する仕組みを店の実態に合わせられるか。この二つのどちらかは要ります。

デモで実際に動かしてもらう順番1. 日付をまたぐ勤務(夜からラストまで。一勤務として集計されるかを見ます)。2. 休憩を複数回に分ける(昼に少し、夕方に少し。両方が控除されるかを確認します)。3. シフトの当日変更(急な欠勤で入れ替わったとき、誰が直せて履歴が残るか)。4. 掛け持ちの従業員(他店や他社と兼務している人の時間をどう扱うか)。5. 月末の締め(打刻漏れの一覧が出るか。出ないと一人ずつ探すことになります)デモで実際に動かしてもらう順番1日付をまたぐ勤務夜からラストまで。一勤務として集計されるかを見ます2休憩を複数回に分ける昼に少し、夕方に少し。両方が控除されるかを確認します3シフトの当日変更急な欠勤で入れ替わったとき、誰が直せて履歴が残るか4掛け持ちの従業員他店や他社と兼務している人の時間をどう扱うか5月末の締め打刻漏れの一覧が出るか。出ないと一人ずつ探すことになります

シフトを当日に変えられて、履歴が残るか

飲食店では、当日の欠勤で人を入れ替えることが日常的に起きます。シフト表を組み直す作業が重いシステムだと、現場は結局その日から紙かチャットに戻ります。戻った時点で、システムに残る記録と実態が別のものになります。

見るべきは二点です。店長がその場でスマートフォンから直せるか。そして、誰がいつ直したかが残るか。前者は現場が使い続けられるかを決め、後者は後で揉めたときに事実を確認する材料になります。片方だけでは足りません。

掛け持ちのアルバイトをどう扱うか

他の店や他社と掛け持ちしている人がいる場合、こちらのシステムで見えるのは自分の店の時間だけです。それ自体は仕方ないのですが、本人の総労働時間を把握する必要が出てくる場面はあります。

システムに求められるのは、他社分を手で登録できる欄があるかどうか程度です。過度な期待はしないでください。実務としては、採用のときに掛け持ちの有無を確認しておき、状況が変わったら申し出てもらう形を作るほうが確実です。仕組みで解けない部分は運用で押さえる、と割り切ったほうが早く進みます。

打刻の方法を、店の入口の形から決める

打刻の方式は、機能の優劣ではなく店の構造で決まります。従業員の出入口とホールが離れている店では、共用のタブレットを置く場所が問題になります。逆に、更衣室が無く裏口からすぐホールという店では、個人のスマートフォンでの打刻が現実的です。

個人のスマートフォンを使う場合、位置情報を使うかどうかは先に決めて、従業員に説明してください。説明せずに取得すると、後から不信につながります。私物を使わせること自体に抵抗がある従業員もいるので、共用端末との併用を選べるかも見ておくと選択肢が残ります。

導入のときに一番揉めるのも、実はここです。今まで紙のタイムカードを押していた人にとって、スマートフォンでの打刻は「監視が増えた」と受け取られることがあります。何のために変えるのか、何が記録されて何が記録されないのかを、最初に一度だけ説明してください。始めてから聞かれるより、始める前に言っておくほうが早く収まります。導入の初日に必ず打刻できない人が出るので、その日は誰かが店にいる状態にしておくのも実務上のこつです。

月末に「打刻漏れの一覧」が出るか

飲食店で必ず起きるのが打刻の漏れです。忙しさのなかで押し忘れる、退勤だけ押していない、休憩を押していない。これを月末に一人ずつ探す作業に戻るなら、システムを入れた意味が半減します。

漏れや矛盾のある勤務を一覧で出せるか、そこから直接修正に飛べるか。この機能があるかどうかで、締めの作業時間が変わります。デモで「月末の締め作業を見せてください」と頼めば、その画面が出てきます。出てこないなら、そこは手作業で残ると考えてください。

店が複数あるとき、人の貸し借りをどう記録するか

二店舗目を出したところから、勤怠の難しさが一段上がります。人が足りない日に別の店から応援に入る形が始まるからです。応援に入った人の時間を、どちらの店の人件費として持つか。ここを決めていないと、店ごとの数字が合わなくなります。

システム側で見るのは、一人の従業員が複数の店に所属できるか、打刻のときにどちらの店かを選べるかの二点です。選べない仕組みだと、応援の日は所属店の勤務として記録され、実際に働いた店の人件費に乗りません。数字が実態とずれた状態で店長に責任を持たせると、そこから話が噛み合わなくなります。

店舗が一つのうちは要らない機能ですが、増やす予定があるなら最初から確認しておいてください。使い始めてから移るのは、過去のデータの持ち方まで含めて面倒な作業になります。

労働時間の記録は、店のためではなく後日のためにある

最後に、目的の話をしておきます。勤怠のシステムは給与計算を速くする道具に見えますが、本当に効くのは後日です。退職した従業員から未払いの申し出があったとき、監督署から確認を受けたとき、頼れるのは記録だけです。

そのときに使えるのは、実態と合っている記録だけです。現場が使い続けられない仕組みを入れて、実際は別のところで管理されている、という状態が一番危ない。機能の多さより、忙しい時間帯にちゃんと押せるかで選んでください。労働時間の扱いについての決まりは記事末尾の公式ページで確認できます。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

店にパソコンが無くてもシステムは入れられますか

入れられます。打刻をタブレットやスマートフォンで行い、集計はスマートフォンのブラウザから見る形になります。ただし月末の確認作業は画面が大きいほうが速いので、自宅のパソコンからも見られるようにしておくと楽です。

店長が自分の勤怠も自分で承認する形でよいですか

運用としては動きますが、承認が形だけになります。店長の勤怠は本部か経営者が見る形にしておいてください。労働時間の把握は雇う側の責任なので、実質的に誰も見ていない状態は避けたいところです。

深夜営業がある店では何を先に確認すべきですか

日付をまたぐシフトが一勤務として集計されるかを最初に見てください。ここが分断されると、深夜の時間帯の集計も休憩の判定も全部ずれます。デモでは必ず日付をまたぐパターンを試させてもらってください。