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手続き

開業したばかりの個人事業主、出す書類はどれが先か

公開 2026-08-16 · 税金・申告

個人で事業を始めたとき、出す書類はそれほど多くありません。にもかかわらず迷うのは、提出先が税務署・都道府県・市区町村・年金事務所・労働基準監督署とばらばらで、しかも期限がそれぞれ違うからです。全部を同時に考えると混乱します。出す順番と、後回しにすると損をするものだけ押さえてください。

最初に出す二つは、必ずセットで

税務署に出すのが、個人事業の開業・廃業等届出書と、所得税の青色申告承認申請書です。この二つは別の書類ですが、実務では同時に出します。理由は単純で、青色申告の承認申請には期限があり、それを逃すとその年は白色での申告になるからです。

青色を選ぶかどうかは、帳簿を付ける手間と受けられる扱いの比較になります。ただ、いま会計ソフトを使えば複式簿記の記帳自体はそれほど負担になりません。少なくとも「面倒そうだから最初は白色で」と決めてしまうのは、選択肢を一年分捨てることになります。制度の内容は国税庁の案内を読んでから決めてください。

提出はどちらも税務署ですが、開業した時期によって期限の考え方が違います。特に青色の申請は期限が厳格なので、開業の日を決めた時点で提出日も決めてしまうのが安全です。書式と期限は国税庁の案内で確認してください。

人を雇うかどうかで、その後が分かれる

一人でやるうちは、税務署の二つでほぼ終わります。人を雇った瞬間に、関係する役所が一気に増えます。この分岐を知らないまま人を入れると、後から遡って手続きすることになります。

まず、給与を払うなら源泉徴収の義務が生じます。給与から所得税を天引きして納める役目です。給与支払事務所等の開設届出という手続きがあり、納付の時期を年に何回かにまとめる特例の申請もあります。人数が少ないうちは、この特例を使うかどうかで毎月の手間がかなり変わります。

次に労働保険です。人を雇えば労災保険は原則として加入することになり、一定の条件を満たせば雇用保険も出てきます。窓口は労働基準監督署とハローワークで、税務署とは別です。ここは雇った時点で期限が動き出すので、入社日が決まったら先に確認してください。

社会保険(健康保険・厚生年金)については、個人事業の場合、業種と人数によって強制的に適用されるかどうかが変わります。法人とは扱いが違うので、自分の業種がどちらに当たるかを日本年金機構の案内で確認してください。強制適用にならない場合でも、申請して適用を受ける仕組みがあります。

出す順番

開業からの手続きの順番1. 開業届と青色申告承認申請を税務署へ(同時に出す。青色は期限を過ぎると一年ずれる)。2. 事業用の口座とカードを分ける(届出ではないが、これをやらないと記帳が地獄になる)。3. 会計ソフトを決めて記帳を始める(青色なら開業月から。後でまとめて入力は破綻する)。4. 人を雇うなら、給与支払事務所等の開設届出(納期の特例を使うかもここで決める)。5. 労働保険の手続き(労働基準監督署とハローワーク。雇った時点で動き出す)。6. 社会保険の扱いを確認する(個人事業は業種と人数で変わる。年金事務所へ)開業からの手続きの順番1開業届と青色申告承認申請を税務署へ同時に出す。青色は期限を過ぎると一年ずれる2事業用の口座とカードを分ける届出ではないが、これをやらないと記帳が地獄になる3会計ソフトを決めて記帳を始める青色なら開業月から。後でまとめて入力は破綻する4人を雇うなら、給与支払事務所等の開設届出納期の特例を使うかもここで決める5労働保険の手続き労働基準監督署とハローワーク。雇った時点で動き出す6社会保険の扱いを確認する個人事業は業種と人数で変わる。年金事務所へ

二番目の口座を分けるのは届出ではありませんが、順番としてここに置いています。事業用と生活用が混ざったまま一年過ごすと、確定申告の時期に取引を一件ずつ仕分ける作業が発生します。開業直後にやれば数十分で済むことに、後から数日かかることになる。

後から気づいて損をしやすいもの

一つは、青色事業専従者給与の届出です。青色申告をしていて、生計を一にする家族に手伝ってもらって給与を払う場合、これを出していないと給与として扱えません。従業員を雇うときの手続きとは別で、期限もあります。家族に手伝ってもらうつもりなら、開業のタイミングで一緒に確認しておいてください。

もう一つは、開業前に使った費用の扱いです。開業のために買った備品や払った家賃、研修費などは、開業後の経費として扱える場合があります。ただし領収書が残っていなければ何もできません。開業を決めた日から、事業に関わる領収書は全部取っておいてください。捨ててから知っても取り返せない類の話です。

三つ目は、都道府県と市区町村への届出です。個人事業税や住民税に関係するもので、税務署の開業届とは別に出すことになっています。様式と提出先は自治体によって違うので、所在地の県税事務所と市区町村の案内を見てください。

あわせて見ておくといいもの

個人事業主には、退職金にあたるものがありません。それを自分で積み立てる仕組みとして小規模企業共済という制度があります。掛金の扱いや受け取り方に決まりがあり、事業をやめたときや廃業したときの備えとして使われています。加入の要件や掛金の範囲は制度側で定められているので、中小機構の案内を確認してください。

国民健康保険と国民年金についても、会社を辞めて独立した場合は切り替えの手続きが要ります。退職から手続きまでの期間が空くと、後からまとめて請求されることになるので、開業の準備と同時に進めてください。

ここに挙げたものは、どれも様式と期限が公式に定められています。人から聞いた話や古い記事の記憶で判断せず、記事末尾の公式ページで自分のケースに当たるものを確認してください。特に期限は、過ぎた後で取り返せないものが混ざっています。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

開業届を出していなくても、事業をやっていることになりますか

確定申告をしていれば事業の実態は税務署に伝わります。ただし開業届を出していないと、青色申告の承認申請とセットで処理されない、屋号での口座開設で求められることがある、といった実務上の不便が出ます。手続き自体は難しくないので、後回しにする理由がありません。提出の様式と期限は国税庁の案内で確認してください。

青色申告の申請だけ後から出せますか

出せますが、承認申請には期限があり、それを過ぎると適用がその年に間に合いません。開業した年から青色で申告したいなら、開業届と一緒に出しておくのが確実です。期限の考え方は開業の時期によって違うので、国税庁の案内で自分のケースに当たるものを確認してください。ここは一日過ぎるだけで一年分ずれます。

家族に手伝ってもらう場合、何か届出が要りますか

青色申告をしていて、生計を一にする家族に給与を払う場合は、青色事業専従者給与に関する届出という別の手続きがあります。これも期限があり、出していないと給与として扱えません。従業員を雇う場合とは手続きが違うので、混同しないでください。詳細と様式は国税庁の案内にあります。