確定申告が近いのに手つかず。何から手を付けるか
期限が近いのに手が付いていない。この状態で一番まずいのは、全部を同時に片付けようとして、どこからも進まなくなることです。作業には順番があり、後回しにしてよいものもあります。まず何を集めるかだけ決めてください。
最初にやるのは、集める作業だけ
入力から始めないでください。手元に何があるかが分かっていない状態で入力を始めると、途中で足りないものが出るたびに探しに行くことになり、そのたびに手が止まります。最初の作業は、材料を一か所に集めることです。
集めるのは四つです。事業用の口座の通帳か明細。クレジットカードの明細。売上が分かるもの、つまり請求書の控えか入金の記録。そして経費のレシートと領収書。この四つが揃っているかを先に確認してください。足りないものがあるなら、取り寄せの依頼だけ先に出しておきます。届くまでのあいだに、揃っているところから進められます。
売上を先に固める
経費から手を付ける人が多いのですが、順番としては売上が先です。理由は二つあります。売上は経費より件数が少なく、短時間で終わること。そして、売上が確定しないとどれくらいの規模の申告になるかが見えないことです。
規模が見えると、判断が変わります。思ったより大きいなら税理士に相談する価値が出ますし、小さいなら自分で最後まで進めるほうが早い。この見極めを先にしておくと、無駄に迷う時間が減ります。売上の集計は、請求の一覧と入金の記録を突き合わせる作業になります。年をまたぐ取引の扱いだけは注意してください。
経費は、記録が残っているものから拾う
経費で時間を食うのは、レシートの山を一枚ずつ見ていく作業です。ここは順番を変えてください。先に口座とカードの明細から拾います。振替と決済の記録は日付も金額も相手先も残っているので、判断するだけで済みます。
この時点で、経費のかなりの部分が埋まります。残るのは現金で払った分と、明細だけでは中身が分からない支出です。ここまで来てからレシートを見ると、確認すべき枚数がはっきり減っています。全部を最初から見る作業と、残りを埋めるために見る作業では、心理的な重さがまったく違います。
現金払いは、思い出す作業だと割り切る
現金で払った経費が一番やっかいです。記録がどこにも残っていないので、思い出すしかありません。手帳の予定、スマートフォンの写真、地図アプリの履歴。こうしたものが手がかりになります。
ここで完璧を目指さないでください。思い出せないものは落ちます。落ちた分だけ経費が少なくなりますが、探し続けて期限に間に合わないほうが損失は大きい。来年はこうならないように、現金の支出だけでも記録する習慣を作る。その判断を今つけておくほうが、今年の数千円を追うより価値があります。
分からない支出は、まとめて残しておく
進めていくと、判断がつかない支出が必ず出ます。事業と私用の両方に関わるもの、一度に大きな金額を払ったもの、去年と扱いが変わりそうなもの。ここで止まらないでください。
やり方は単純で、判断できないものを一か所にまとめておき、他を全部終わらせてから相談します。まとめてあれば、税務署の相談窓口でも税理士でも、一度で聞けます。一件ずつ迷いながら進めると、そのたびに調べる時間が発生し、しかも調べた内容を忘れます。扱いの基本は記事末尾の国税庁のタックスアンサーで探せることが多いので、まず自分で見てみるのも手です。
提出の手段を、途中で確認しておく
集計が終わってから提出の手段を考えると、そこでもう一段の待ちが発生することがあります。電子で提出するには事前の準備が要り、その準備に時間がかかる場合があります。手続きの内容や必要なものは記事末尾の e-Tax のページで確認してください。
紙で出すか電子で出すかは、期限までの残り日数で決めることになります。準備が間に合わないなら、今年は紙で出して、来年に向けて準備を進めるという判断でかまいません。手段のために期限を落とすのは順序が逆です。
作業を止めないための、時間の区切り方
手つかずの状態から始めるとき、一日で終わらせようとすると失敗します。集中が切れた後の入力は間違いが増え、間違いを直す時間で結局長くなるからです。作業の性質ごとに時間を分けてください。
集める作業と、判断する作業は別物です。領収書を並べて日付順にするのは頭を使いませんが、この支出が経費かどうかを決めるのは頭を使います。前者は疲れているときにできて、後者は朝のほうが速い。混ぜて進めると、判断が要る場面で止まって、そこから再開できなくなります。
もう一つ、区切るときは中途半端なところで止めてください。きりのよいところまでやって終わると、次に開いたときに何をすればよいか思い出すところから始まります。途中で止めておくと、続きが目の前にあるので手が動きます。数日にわたる作業では、この差が大きく出ます。
間に合わないと分かったときにやること
作業を進めた結果、どうしても期限に届かないと分かることがあります。そのときも、何もしないという選択だけは取らないでください。提出できるところまで進めて出す、あるいは税務署に状況を伝える。動いた記録があるかどうかで、その後の対応が変わります。
遅れた場合の扱いは状況によって違うので、記事末尾の国税庁のページで確認するか、税務署に直接聞いてください。この時期の相談窓口は混みますが、聞けば教えてもらえます。放置して何か月も経ってから対応するより、期限の前後に動くほうがはるかに軽く済みます。
来年に向けて、一つだけ変える
終わった直後が、来年の準備をする唯一のタイミングです。落ち着いてからやろうと思うと、必ずやりません。今年つまずいたところを一つだけ選んで、そこだけ変えてください。
現金払いが多くて苦しかったなら、事業の支払いをカードか口座振替に寄せる。レシートを探す時間が長かったなら、月ごとの封筒に入れるだけの運用にする。全部を変えようとすると続かないので、一つで十分です。来年の今ごろ、その一つぶんだけ楽になっています。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
領収書を失くしてしまった支出は、経費にできませんか
支払った事実を別の方法で示せるなら、そこで諦める必要はありません。クレジットカードの明細、通帳の記録、相手からの請求書などが手がかりになります。ただし何が認められるかは支出の内容によるので、金額が大きいものは税務署か税理士に確認してください。
期限に間に合わなかったらどうなりますか
遅れて提出することはできます。ただし遅れたことによる不利益が発生する場合があるので、間に合わないと分かった時点で、何もしないのではなく提出できるところまで進めてください。詳しい扱いは記事末尾の国税庁のページで確認できます。
途中まで自分でやって、残りを税理士に頼めますか
頼めますが、この時期は事務所が最も混みます。引き受けてもらえるかは早めに確認してください。断られる前提で、自分で出せる状態まで進めておくのが安全です。