飲食店の勤怠 — シフトと深夜帯の記録をそろえる
飲食店の勤怠は、人数が増えたから崩れるのではありません。シフトで組んだ時間と、実際に働いた時間がずれるところから崩れます。ずれる場所は店ごとに違うようでいて、実はほぼ共通しています。まずそこを特定してください。
ずれが生まれる場所
次の四つは、どの店でも起きます。心当たりがある場所から手を付けてください。
先に決めること
製品を比べる前に、自店の条件を確定させます。ここが決まっていないと、どの製品を見ても判断できません。
シフトと勤怠を分けない
飲食店でシフト作成と勤怠管理を別々に持つと、必ず二重入力になります。予定と実績が同じ画面で突き合わせられることを条件にしてください。月末にまとめて照合する作業が消えます。
逆に、シフトが固定でほとんど変わらない業態なら、シフト機能は不要です。使わない機能のために価格の高いプランを選ぶ必要はありません。料金や機能の内容は変わるため、最新の情報は記事末尾の各社の公式ページで確認してください。
休憩を実績で取ると何が見えるか
休憩を予定のまま記録している店は多いのですが、飲食店で予定どおりに休憩が取れることのほうが珍しいはずです。予定で記録すると、取れなかった休憩の時間がそのまま労働時間から落ちます。落ちた時間は給与にも反映されません。
実績で打刻させると、最初の月は「こんなに取れていなかったのか」という数字が出ます。それが目的です。取れていない事実が見えて初めて、人の配置を変えるか、休憩の時間帯をずらすかという話ができます。見えないままだと、忙しさは店長の感覚としてしか共有されません。
打刻を増やすとスタッフの手間になるので、休憩の開始と終了だけに絞ってください。細かく打たせようとするほど守られなくなり、結局どの記録も信用できなくなります。
打刻をどこでさせるか
厨房に立つスタッフに個人のスマホで打刻させるのは、現実的でないことがあります。手が濡れている、私物を持ち込ませたくない、そもそも私物での打刻を嫌がる人がいる。この三つはよく出てきます。
据え置きの端末を出入り口に置く方式なら、この問題は起きません。かわりに、混み合う時間帯に行列ができることがあるので、置き場所は着替える動線の上にしてください。休憩室の奥に置くと、通りがかりに打てず、後でまとめて打つ習慣がつきます。
深夜帯がある店で確認すること
日付が変わる時刻をまたいで働く場合、集計の仕様が製品によって違います。始業した日に通しで付ける方式と、日付で区切って二日に分ける方式があります。給与計算に渡すときの形が変わるので、導入前に実際のシフトで試算させてもらってください。
あわせて、深夜の割増や休憩の付与といった、法令に基づく扱いも確認が要ります。判断が分かれやすい部分なので、記事末尾のガイドラインと条文にあたってください。
入れ替わりの多さを前提に選ぶ
アルバイトの登録と削除を、店長がその場でできるかどうかは、運用が続くかを大きく左右します。本部への申請が必要な仕組みは、繁忙期に登録が追いつかず、結局その人だけ紙で記録することになります。例外が一つできると、その運用は元に戻りません。
最初に見えてくるのは店長の時間
記録をそろえると、たいてい最初に問題として浮かぶのはアルバイトではなく店長の労働時間です。開店前に入り、閉店後も残り、休憩は取れていない。これまで数字になっていなかっただけで、記録を始めると一目で分かります。
ここで記録を甘くしないでください。店長の時間が見えないまま人員配置を考えると、店長の無理を前提にした計画になります。数字が出たあとで、業務の一部を他の人に移すのか、人を増やすのか、営業時間を見直すのかを決めることになります。判断の材料が要るから記録するのであって、記録が目的ではありません。
導入する時期を選ぶ
切り替えの直後は、打刻漏れの確認と使い方の質問で店長の手が取られます。年末年始や大型連休の直前にぶつけると、その対応が営業と重なります。落ち着いている時期を選んでください。
また、締め日の翌日から切り替えるのが鉄則です。月の途中で変えると、その月の労働時間が二つの仕組みに分かれ、給与計算の前に合算する作業が発生します。数週間待てば避けられる手間なので、急ぐ理由がなければ待ってください。
スタッフへの説明で外せないこと
打刻の方法が変わることを、切り替えの当日に知らせるのは避けてください。その日の打刻はまとまって漏れ、あとから全員分を埋める作業になります。
説明では、何のために変えるのかを一言で伝えてください。「働いた時間を正しく記録するため」で十分です。管理を強めるためだと受け取られると、打刻が形だけになります。位置情報を使う方式にする場合は、何を取得して誰が見るのかを先に説明してください。ここを飛ばした導入は、あとから不信として返ってきます。
複数店舗があるなら最初から前提に入れる
いまは一店舗でも、増える見込みがあるなら選ぶ条件が変わります。あとから店舗を足すときに、店ごとに契約が分かれる形だと、集計は結局手作業に戻ります。
確認するのは二つです。一つは、同じ人が複数の店で働いたときに、その人の労働時間を通しで見られるか。掛け持ちが起きる業態では、これができないと法令上の判断ができません。もう一つは、店長が自分の店だけを見られるように権限を分けられるかです。全店の情報が全店長に見える形は、現場で嫌われます。
店舗が増える前に決めておきたいのが、締め日をそろえるかどうかです。店ごとに違う締め日で運用していると、給与計算の担当者は毎月別の日程で同じ作業を繰り返すことになります。増やすときにそろえるのがいちばん摩擦が少なく、後からそろえようとすると一度だけ変則的な期間が発生します。
本部と店舗で見えるものを分けると、店長は自分の店の数字に集中できます。全店の情報が見える形は、比較されているという感覚を生みやすく、記録を良く見せようとする動きにつながります。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
休憩が客の入りでずれる場合、どう記録しますか
予定ではなく実際に取れた時間を打刻で残す運用にしてください。予定のまま記録すると、取れなかった休憩が労働時間から落ちたままになります。
日をまたぐ勤務はどちらの日に付けますか
始業した日に通しで付ける扱いが一般的ですが、集計の仕様は製品によって違います。深夜帯のある店では、導入前に日またぎの集計方法を必ず確認してください。
アルバイトの入れ替わりが激しくても運用できますか
登録と削除が管理画面で完結し、店長の権限でできるかが分かれ目です。本部への申請が必要な仕組みだと、繁忙期に登録が追いつかなくなります。