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建設業の電子帳簿保存法、請求書ソフトで確認するのはここ

公開 2026-08-02 · 請求書発行

電子帳簿保存法の対応というと、まず「電帳法対応」と書かれた請求書ソフトを探すことになる。ただ、建設業で実際に詰まるのはソフトの機能ではない。請求書がどの経路で届いていて、それを誰がどこに置くのかが決まっていないまま入れ替えると、現場代理人のスマホの中にPDFが残ったまま事務所は何も知らない、という状態になる。決める順番から書く。

まず整えるのは、出す請求書か受け取る請求書か

どちらの対応が先か取引先からメールやポータルでPDFの請求書が届いている → はい: 受け取り側の電子取引データ保存が最優先。経路の棚卸しから始める。自社の請求書をPDFでメール送付している → はい: 送った控えもデータのまま保存する。送付方法を一本化しておく。受け渡しはすべて紙で、データのやり取りがない → はい: 電子取引の対応は不要。紙のまま保存を続けてよい。いずれにも当てはまらない場合: どれもはっきりしないなら、直近一か月に届いた請求書を全部並べて、経路ごとに数えるところから始めるどちらの対応が先か取引先からメールやポータルでPDFの請求書が届いているはい受け取り側の電子取引データ保存が最優先。経路の棚卸しから始めるいいえ自社の請求書をPDFでメール送付しているはい送った控えもデータのまま保存する。送付方法を一本化しておくいいえ受け渡しはすべて紙で、データのやり取りがないはい電子取引の対応は不要。紙のまま保存を続けてよいいいえどれもはっきりしないなら、直近一か月に届いた請求書を全部並べて、経路ごとに数えるところから始める

この話は、自社が出す請求書と、下請けや資材屋から受け取る請求書を分けないと前に進まない。分けずに「うちは電子化する」と決めると、発行側の運用だけ変えて受け取り側が野放しになる。手が掛かるのは受け取り側だ。発行側は自社の都合で送り方を決められるが、受け取り側は相手の都合で経路が決まる。取引先が十社あれば十通りのやり方で届く。

自社発行分の判断軸は単純で、相手にどう渡したかで決まる。PDFをメールで送ったなら、その控えもデータのまま保存する。紙に印刷して郵送したなら、控えは紙でかまわない。困るのは、得意先ごとに紙とPDFを使い分けている会社だ。控えの保存方法が二本立てになり、決算前に「これはどっちだったか」を思い出す作業が発生する。送付方法を先に一本へ寄せておくと、この手戻りが消える。

建設業の請求書は、どの経路で届いているか

棚卸しの前に手を動かしても意味がないので、直近一か月に届いた請求書を全部並べてみるところから始める。建設業は他業種より経路が多い。

見落とされやすいのはポータル型だ。いつでも見られる気がするが、閲覧できる期間には限りがあることが多い。過去分を求められたときに落とせなくなるので、支払を確定するタイミングで必ず自社側にダウンロードして置く、と決めてしまう。もうひとつは、現場代理人の個人アドレスに直接届くケース。担当が変わった瞬間に経路ごと消える。会社の代表アドレスか請求専用アドレスに寄せて、個人宛に来たら転送する運用にしておかないと、翌年の同じ現場で誰も請求書を出せない。

検索できる状態を、誰がつくるのか

電子で受け取ったデータは、あとから取引年月日・取引先・金額で探し出せる状態にしておく必要がある。専用ソフトを使わず、ファイル名を決まった形にして所定のフォルダへ置く方法でも成立する。ただし、どちらを選んでも人が項目を入力する場面は残る。ここを軽く見ると、二か月目で誰も名前を付けなくなり、フォルダの中に「請求書.pdf」が並ぶ。

受け取りが月に数十枚を超える規模なら、読み取りと自動入力を持つソフトのほうが持つ。確認したいのは精度そのものより、読み取った結果を人が直す画面の作りだ。取引先名がマスタと突き合わされるか、金額の桁を一件ずつ開かずに直せるか。試用期間中に、いつも来る下請けの請求書を五、六枚流してみれば分かる。

建設業固有の点として、経理は工事番号や現場名で探したい。電帳法の要件に工事番号は入っていないので、ソフトによっては独自の項目を持てない。持てない場合、結局フォルダを工事別に切って二重管理になる。原本の置き場を一つに決めて、工事別は一覧表側で紐づける形にしておくと崩れにくい。

改ざん防止はタイムスタンプか、規程か

受け取ったデータをそのまま置くだけでは足りない。訂正や削除ができない、もしくは記録が残る仕組みで持つか、訂正削除についての事務処理規程を定めて運用するか、どちらかで担保する。前者はソフト任せ、後者は社内ルール任せということになる。

従業員が数人から数十人の会社では、規程方式のほうが現実的なことが多い。追加費用がかからず、既存のフォルダ運用の上に載せられるからだ。ただし規程は作って終わりではない。保存フォルダの書き込み権限を経理担当だけに絞る、差し替えが必要になったときに社長が承認する、といったところまで決めないと、税務調査で「規程はありますが運用は誰も見ていません」という説明になる。

ソフト側で担保する場合に確認するのは一点、保存したファイルを後から別のものに差し替えたときに履歴が残るかどうか。カタログの「電帳法対応」という表記だけでは、発行側の話なのか受領データの話なのか判別できない。営業に聞くより、試用アカウントで実際に上書きしてみるほうが早い。

紙の請求書までスキャンするべきか

紙で受け取った請求書をスキャンして原本を処分するのは義務ではない。やるかやらないかは会社の判断だ。ここを混同して「全部スキャンしなければ」と身構えると、対応そのものが止まる。スキャナ保存に踏み込むと、読み取りの条件や入力の時期など、電子取引とは別の条件がついてくる。

建設業は、現場から月末にまとめて紙が上がってくる。この状態でスキャナ保存を同時に始めると、締め処理と入力期限の両方に追われて一か月目から破綻する。順番としては、まずメールとポータルで届く分だけを整える。紙は今までどおり綴じておけばいい。

逆に、現場事務所や倉庫の書類の置き場が限界に来ているなら検討する価値はある。その場合もスキャン担当を一人に固定する。複数人でやると、誰が読み取ったか分からないファイルが混ざり、原本を捨てたあとで再確認できなくなる。

どのソフトに寄せるか — 三つの型で見る

寄せ先は大きく三つある。請求書の発行ソフトに受け取り分も含めて集める型、会計ソフトの証憑保存機能に集める型、工事原価管理などの業務システムに集める型だ。どれが正解ということはなく、決め手になるのは、工事別の原価をどこまで追う必要があるか、経理を誰がやっているか、今使っているものからの移行にどれだけ手が掛かるかの三点になる。

工事別の原価を毎月見て、実行予算と突き合わせているなら業務システム側に寄せるほうが筋がいい。請求書の保存だけ別の場所に置くと、原価の確認と証憑の確認で二回ログインすることになるからだ。ただし業務システムは製品ごとに受領データの扱いに差があるので、契約前に「受け取ったPDFをそのまま保存して、取引先と金額で検索できるか」を確かめる。

経理が社長ひとり、あるいは家族が兼務していて、工事別原価は表計算で足りているなら、会計ソフト側に寄せるほうが手間が少ない。すでに仕訳を入れている画面に証憑の保存が増えるだけで、覚えることが一つで済む。発行枚数が多くて請求書作成に時間を取られているなら、発行ソフトを軸にして会計へ連携させる形も取れる。料金体系は製品によって課金の単位が違うので、最新の料金は記事末尾の公式ページで確認してほしい。

切り替える前に、取引先と現場に伝えること

切り替えまでの段取り1. 受け取り経路の棚卸し(一か月分の請求書がどこから届いたかを書き出す)。2. 受け取り用アドレスと保存場所を一つに決める(現場代理人の個人アドレス宛をやめる)。3. 改ざん防止をソフトか規程かで決める(規程方式なら承認者と権限の範囲まで決める)。4. 取引先と現場に送付先を通知する(紙で送ってくる相手は残る前提で置き場も用意)。5. 締めを一巡させて詰まりを直す(最初の月は紙の綴りを並行して残す)切り替えまでの段取り1受け取り経路の棚卸し一か月分の請求書がどこから届いたかを書き出す2受け取り用アドレスと保存場所を一つに決める現場代理人の個人アドレス宛をやめる3改ざん防止をソフトか規程かで決める規程方式なら承認者と権限の範囲まで決める4取引先と現場に送付先を通知する紙で送ってくる相手は残る前提で置き場も用意5締めを一巡させて詰まりを直す最初の月は紙の綴りを並行して残す

ソフトを決めたら、動かす前に受け取り用のアドレスと保存場所を確定させる。ここを後回しにすると、新しいソフトを入れた月に旧経路と新経路の両方に請求書が届き、どちらにも入っていない一枚が生まれる。支払漏れは下請けとの関係に直接響くので、最初の一か月は紙の綴りも並行して残しておく。

下請けには送付方法をそろえてほしいと伝えるが、強制はできない。相手にも事情があるので、紙で送ってくる会社は必ず残る。全社を電子に揃える前提で運用を組むと、例外が出た瞬間に止まる。紙が来ることを前提にした置き場を最初から用意しておくほうが実務は回る。

最後に、月末の締めの流れを一度書き出す。誰が受け取り、いつ保存場所に入れ、誰が支払を確定させるか。この三つが人に紐づいていないと、担当が休んだ月に全部止まる。ソフトの機能より、この一枚のほうが効く。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

元請のポータルからダウンロードする支払通知書も、保存の対象になりますか。

データで受け取っている以上、受け取った側で保存する対象になります。落とし穴は閲覧期間です。ポータル上でいつでも見られるからと放置すると、期間が切れたあとに過去分を出せなくなります。締め処理のたびに落として自社の保存場所に置く、という手順を月次の流れに組み込んでおくと取りこぼしが減ります。

FAXで届く請求書はどう扱えばいいですか。

複合機で紙に出して受け取っているなら紙の書類、PDFで受信してサーバーやメールに溜めているならデータです。同じ取引先でも複合機の設定次第で扱いが変わるので、まず自社の受信設定を確認してください。紙とPDFの両方が残る設定になっていると、どちらが原本か分からなくなります。

工事番号で請求書を探したいのですが、電帳法の検索要件と両立できますか。

取引年月日・取引先・金額で探せる状態が保たれていれば、それ以外の分け方は自由です。危ないのは、工事別フォルダにコピーを作って二か所で持つやり方で、片方だけ差し替わると原本がどちらか分からなくなります。原本の置き場は一つに固定し、工事別はリンクや一覧表で参照する形にしてください。