ホームページやECサイトを作るとき、補助金のどこを見るか
ホームページを作りたい、ECを始めたい。この用途に補助金を使えないかという相談は多いのですが、「この制度なら使える」と一般化できる答えはありません。同じ名前の制度でも、公募の回によって対象経費の範囲が変わるからです。見る場所は決まっています。
制度の名前ではなく、対象経費の欄を見る
インターネットで調べると、特定の制度名とセットで「ホームページ制作に使える」と書かれた記事が出てきます。書かれた時点では正しかったかもしれませんが、その情報が今回の公募にも当てはまるとは限りません。制度は毎年見直され、対象になる経費の範囲も動きます。
確かめる場所は一つで、その回の公募要領にある対象経費の欄です。そこにウェブサイト関連の費目が挙がっているか、挙がっているとして何が含まれるか。ここだけが根拠になります。読むのに時間はかかりません。探すべきページは公募要領の目次から見つかります。
制作費と運用費は、別のものとして区切られる
ウェブ関連でつまずくのは、費用の区切り方です。サイトを作る費用と、公開した後に毎月かかる費用は、制度の側では別のものとして扱われることが多くあります。
作る費用が対象でも、サーバーの利用料や保守、広告の出稿費が対象外という区切り方は珍しくありません。制作会社の見積が一式でまとまっていると、この区切りが見えなくなります。見積を依頼する段階で、初期の制作と、公開後に継続してかかるものを分けて出してもらってください。分けてあれば、対象になる範囲がそのまま読み取れます。
交付決定より前に契約しない
ウェブの案件で特に起きやすい事故です。制作会社との打ち合わせが進み、話がまとまったところで「では進めてください」と伝えてしまう。この時点で発注とみなされ、交付決定より前の契約として対象外になります。
設備と違って、ウェブの制作は打ち合わせと着手の境目が曖昧です。だからこそ、制作会社には最初に伝えておいてください。交付決定が出るまで着手しないでほしい、と。相手にとっても、着手した後で止められるより先に聞いておくほうが助かります。見積を取り、仕様を詰めるところまでは進めて構いません。
何のために作るのかを、書ける形にしておく
申請では、その投資が事業にどう効くのかを説明します。ウェブサイトの場合、ここが弱くなりがちです。「ホームページが古いから」では、事業の必要性の説明になりません。
説明できる形にするには、今どこで困っているかを具体的にしてください。電話での問い合わせ対応に時間を取られている、商圏の外から注文を受ける手段がない、求人に応募が来ない。こうした具体的な困りごとと、作るサイトが対応していれば、必要性は自分の言葉で書けます。制作会社に書いてもらった文章より、この形のほうが通ります。
相見積を取るなら、同じ条件で頼む
制度によっては、一定額を超える発注で相見積を求められます。ウェブの制作はここが難しい領域です。同じ「ホームページ一式」でも、会社によって含まれる作業が違うので、金額だけを並べても比較になりません。
依頼するときは、ページ数、必要な機能、写真や文章をどちらが用意するか、公開後の保守をどこまで含めるかを、こちらから条件として示してください。条件が揃っていれば、見積は比べられる形で返ってきます。事務局に出すときも、なぜこの会社を選んだのかを説明しやすくなります。安いほうを選ばなければならない決まりが無い制度でも、選んだ理由は聞かれます。
制作会社の「補助金が使えます」を鵜呑みにしない
制度に詳しい制作会社は実際にあり、申請の支援まで含めて引き受けてくれるところもあります。それ自体は助かる話です。ただ、申請の主体は自社で、対象外と判断されたときに負担するのも自社です。
ですから、営業の説明をそのまま前提にしないでください。確認するのは、その説明が今回の公募要領のどこに書かれているかです。示してもらえるなら信頼できますし、示せないなら根拠が古い可能性があります。聞きにくい話ではありません。発注する側が確かめるのは当然のことです。
公開した後にやることを、先に決めておく
採択された案件は、実施した後に報告が要ります。ウェブサイトの場合、作って終わりにすると、この報告で書くことがなくなります。事業化の状況を継続して報告する制度なら、なおさらです。
誰が更新するのか、何を載せ続けるのかを、作る前に決めてください。更新が止まったサイトは、成果として説明できないだけでなく、事業としても効きません。ここまで決めてから発注すると、制作会社への要望も具体的になり、出来上がるものが変わります。
ECを始める場合は、外の費用も並べて見る
ECは制作費だけでは動きません。決済の手数料、モールの利用料、配送、そして在庫。継続してかかる費用が制作費とは別に発生します。これらは対象外になることが多い部分です。
補助の対象になるかどうかとは別に、事業として回るのかを先に確かめてください。制作費に補助が付いても、継続費用で赤字が出れば意味がありません。申請書に書く事業化の見込みも、この部分が押さえられていないと書けません。順番としては、事業として成立するかを先に、補助を後に考えます。
今回の公募に合わなければ、次に備える
読んだ結果、今回の公募では対象にならないと分かることもあります。そのときは無理に申請しないでください。通らないだけならまだしも、通ってから対象外と判断されるほうが痛手です。
次に備えるなら、電子申請のアカウントを取り、見積を分けた形で用意し、何のために作るのかを紙にしておく。この三つがあれば、次の公募で締切までの時間を書類の作成に使えます。金額・補助率・締切・対象経費の範囲は制度ごとに違い、回によっても変わります。必ず記事末尾の公式ページから、自分が申請する制度の公募要領を確認してください。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
制作会社が「補助金が使えます」と言っています。そのまま任せてよいですか
任せる前に、公募要領の対象経費を自分で読んでください。申請の主体は自社で、対象外だった場合に負担するのも自社です。制度に詳しい制作会社は実際にありますが、確認の責任は発注する側に残ります。
サイトの運用や広告の費用も対象になりますか
制度によって扱いが違い、同じ制度でも回によって変わることがあります。制作費は対象でも、公開後の運用や広告の費用は対象外という区切り方が珍しくありません。公募要領の対象経費で確認してください。
すでに作り始めているサイトは対象になりますか
多くの制度で、交付決定より前に契約・着手したものは対象外です。着手済みの分を後から申請に含めることは基本的にできません。次の段階の改修で申請する形になります。