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ECの請求書ソフト選び — 卸の掛売とモール入金で決まる

公開 2026-08-20 · 請求書発行

ECで請求書ソフトを探し始める理由は、たいてい二つに絞られます。卸や法人客が増えて後払いの請求が手作業では回らなくなったか、モールと自社サイトの入金が合わなくて月末に電卓を叩いているか。どちらの理由で探しているかで、外せない要件は変わります。ここを混ぜて機能表を眺めると、必要のない機能で値段が上がるだけになります。

そもそも EC で請求書は誰に出すのか

請求書ソフトが必要かを絞り込む小売店や法人へ卸で売っているか → はい: 掛売と月まとめ請求ができるソフトが前提になる。後払い(請求書払い)の注文を受けているか → はい: 入金期日と売掛残高を取引先別に見られるものを選ぶ。食品と雑貨など税率の違う商品を同じ箱で送るか → はい: 明細行ごとに税率を持てるかを最優先で確認する。返品や一部返金が毎月発生しているか → はい: 控除行と別書類の両方が出せるかを試用時に検証する。いずれにも当てはまらない場合: すべていいえなら、カートが出す購入明細と会計ソフトの請求機能で足りる。専用ソフトの検討は卸が始まってからでよい請求書ソフトが必要かを絞り込む小売店や法人へ卸で売っているかはい掛売と月まとめ請求ができるソフトが前提になるいいえ後払い(請求書払い)の注文を受けているかはい入金期日と売掛残高を取引先別に見られるものを選ぶいいえ食品と雑貨など税率の違う商品を同じ箱で送るかはい明細行ごとに税率を持てるかを最優先で確認するいいえ返品や一部返金が毎月発生しているかはい控除行と別書類の両方が出せるかを試用時に検証するいいえすべていいえなら、カートが出す購入明細と会計ソフトの請求機能で足りる。専用ソフトの検討は卸が始まってからでよい

個人客がカートでカード決済して即日発送、という流れなら請求書は発生しません。買った人が欲しいのは購入明細か領収書で、これはカート側の機能で出ているはずです。請求書ソフトが必要になるのは、代金を受け取る前に商品を渡す取引が混ざったときです。小売店やサロンへの卸、法人のまとめ買い、自治体や学校の後払い、ノベルティのOEM。この手の取引が月に何本か立つようになると、注文メールを見返して金額を拾い、エクセルの前月分を上書きして日付を直す作業が始まります。

先に線を引いてください。請求書ソフトに載せるのは請求書を出す相手だけで、モール経由の個人向け販売は載せません。ここを混ぜると、発行件数で課金されるソフトでは無駄に上位プランへ押し上げられますし、売上の二重計上を毎月チェックする手間も増えます。BtoCの売上は会計ソフト側で日次または月次の合計として入れる、卸だけを請求書ソフトで回す。この分け方が一番崩れません。

卸先が増えたときに最初に壊れるのはどこか

卸は同じ相手に月内で何度も出荷します。都度請求で送っていると、相手の経理から「月まとめにしてくれ」と言われます。ここで必要になるのが、出荷ごとの納品明細を一枚の請求書に集約する機能です。持っていないソフトだと、月末に納品書を並べて手で合計を作ることになり、明細が一行抜けても気づけません。相手が締め日を決めている場合、その締め日で切って集約できるかも見てください。二十日締めの卸先と月末締めの卸先が混在するのは、EC発の卸ではよくあります。

もう一つ壊れるのが掛率です。同じ商品を相手ごとに違う卸値で出しているなら、取引先別の単価をソフト側に持てるかどうかで作業量が変わります。持てないと、請求書を作るたびに自社の価格表を開いて掛け算します。一度間違えて安く請求してしまうと、次月に差額を乗せる説明から始めることになり、これは相手との関係にも効きます。

返品や一部キャンセルを、請求にどう反映するか

ECで避けられないのが返品と一部返金です。すでに請求書を出した後で一部が返ってきたとき、やり方は二つあります。当月の請求書に控除の行として乗せるか、返品分だけを別に発行するか。どちらにするかは相手の経理の都合で決まるので、ソフト側は両方できるものが安全です。マイナス金額の行が入力できないソフトだと、請求書を取り消して作り直すしかなくなり、相手の会計側でも一度計上した仕入を消す手間が出ます。

値引きや返品の扱いは、インボイス制度でも書式が決まっている部分です。返品や値引きの金額を相手に伝える書類の扱い、少額な場合の取り扱いなど、細かい条件があるので、記事末尾の国税庁の特設サイトで自社のケースを当てておいてください。ソフトの営業に聞くと「対応しています」と返ってきますが、実際に自社の返品パターンで一枚作ってみるまでは信用しないほうがいいです。無料期間があるなら、そこで試すのは新規発行ではなく返品処理です。

税率が混ざる商品と送料をどう扱うか

食品を扱っているECは、ここが一番面倒です。同じ箱に軽減税率の商品と標準税率の雑貨が入り、送料は標準、クール便の追加料金も標準。請求書の上では税率ごとに区分して合計を出す必要があるので、明細行ごとに税率を持てないソフトは使えません。手で税率を選ぶ方式だと、商品数が増えたときに必ず選び間違えます。商品マスタ側に税率を持たせて、明細を選んだ時点で自動で入る形が実務では楽です。

端数処理も先に確認してください。税額を明細ごとに計算するのか、税率ごとの合計に対して一回だけ計算するのかで、一円単位の差が出ます。相手の会計システムと合わないと、入金額が請求額と一円違う状態が毎月続き、消込のときに毎回止まります。切り捨てか四捨五入かをソフト側で選べるかどうか、卸先の主要な相手に合わせられるかを見ておくと後が静かです。

入金の突き合わせで詰まるのはどこか

ECの入金は素直ではありません。決済代行からは手数料を引かれた金額が数日分まとめて振り込まれ、モールからは月次で相殺後の金額が入ります。卸先からは請求どおりの金額が振り込まれるはずですが、振込手数料を引かれていたり、二社分をまとめて送ってきたりします。請求書ソフトに求めるのは、この全部を解決することではなく、卸の入金だけをきれいに消せることです。合算入金を複数の請求書に割り当てられるか、差額を手数料として処理できるか。この二つがないと、消込が終わらない請求書が毎月数本残ります。

会計ソフトとの連携は、あるなら使えばいい程度に考えてください。連携で自動仕訳される範囲は製品によって違い、EC特有の決済手数料や販売手数料は結局手で調整することが多いです。連携の有無より、売掛の残高一覧が取引先別にすぐ出るかを重視したほうが実務は回ります。残高が見えれば、支払いが止まっている卸先に翌月の出荷前に電話できます。

保存と登録番号の扱いで見るべき点

請求書を電子で送るなら、送った控えは電子で保存する扱いになります。ソフト側で発行済みの請求書を日付や取引先や金額で探せるか、税務調査のときに画面で出せるか、ここは導入前に触って確かめる部分です。検索が「取引先名だけ」しかできないソフトもあり、金額から探せないと調べものに時間がかかります。制度上の要件は記事末尾の電子帳簿保存法のページで確認してください。

登録番号は自社のものを請求書に印字できれば足ります。悩むのは相手側です。卸先が免税事業者で、こちらが仕入れる立場になる取引(委託販売の手数料など)があるなら、取引先マスタに相手の登録状況を持てるほうが管理しやすい。導入前に確認しておく項目を挙げるなら、次の四つです。

料金はどこで増えるか

請求書ソフトの料金は、使う人数か発行件数か、そのどちらかで段階が上がる作りが多いです。ECの場合、注意すべきは発行件数の数え方です。個人向けの購入明細まで件数に含める運用にしてしまうと、実際に請求書を出す相手は数十社なのに、上位プランの料金を払うことになります。前の項で書いたとおり、BtoCは載せない前提で件数を見積もってください。

郵送代行や入金確認の自動化は、あとから足せるオプションになっていることが多いです。紙を求める卸先が数社だけなら、その分は自分で封入して出したほうが安く済む場合もあります。最新の料金体系は各社の公式ページで確認してください。年払いにすると単価が下がる製品もありますが、卸の本数が増える途中の時期に長期契約で縛るのは、プラン変更のときに面倒になります。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

BtoCだけのECでも請求書ソフトは要りますか

注文のほとんどが個人客なら、カートが出す購入明細と会計ソフトの取引先請求で足ります。ただし法人がまとめ買いして「請求書を送ってほしい」と言ってくる件数が月に何件も続くようなら、その時点で検討したほうがいいです。カート側の明細は宛名や但し書きの自由度が低く、経理部門から差し戻されることがあります。

モールの売上データは請求書ソフトに取り込むべきですか

取り込む必要はありません。モール経由の個人向け販売は請求書を発行する取引ではないので、売上の集計は会計ソフト側でまとめたほうが管理が単純になります。請求書ソフトに入れるのは、あくまで請求書を出す相手の取引だけに絞ってください。

卸先が独自の請求書フォーマットや支払通知書を使っている場合はどうしますか

相手指定の用紙に書き写す運用が残るなら、ソフト側では控えの保存と金額の突き合わせだけを担わせる割り切りが現実的です。相手が支払通知書を出してくる取引では、自社が請求書を出さない形もあります。どちらの扱いにするかは取引開始時に相手の経理と決めておくと、後で二重発行になりません。