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一人社長の会計ソフトは決算と役員報酬で決まる

公開 2026-08-08 · 会計ソフト

一人社長の会計ソフト選びは、機能一覧を横に並べても決まりません。決めるべきことは二つ。決算と法人税の申告を自分でやるのか誰かに頼むのか、そして役員報酬にくっついてくる毎月の作業を自分の手で回すのか。この二つを先に決めると、候補は自然に半分以下になります。逆にここを決めずに料金だけで選ぶと、決算月に「このプランでは決算書が出せない」と気づきます。

個人事業のときと同じ基準で選ぶと外す

法人の決算は、出す書類の形が決まっています。貸借対照表と損益計算書だけでなく、株主資本等変動計算書や勘定科目内訳明細書といった付属の書類までそろえる必要があります。個人向けのプランは青色申告決算書と確定申告書を作るところまでしか面倒を見ないので、法人成りした後もそのまま使い続けると、決算月を迎えた時点で行き止まりになります。

もうひとつの違いは、社長自身への給与、つまり役員報酬です。個人事業のときは事業のお金と生活費の境目が曖昧でも申告は通りましたが、法人では会社から社長へ給与を払う形になり、給与計算と源泉徴収がセットで発生します。会社のお金を私用に使えば役員貸付金として残り、決算のときに理由を説明することになります。ソフトを選ぶ前に、この二つが自分に必要な作業だと押さえておいてください。

決算と法人税の申告をどこまで自分でやるか

申告を誰がやるかで、条件が変わる法人税の申告書まで自分で作るつもりか → はい: 申告書作成機能があるか、申告ソフトへデータを渡せることが必須条件。すでに頼む税理士が決まっているか → はい: その事務所が扱えるソフトから選ぶ。データの渡し方を先に聞く。これから税理士を探す予定か → はい: 利用者の多いソフトを選び、面談で対応可否を確認する。いずれにも当てはまらない場合: 決めきれないなら、決算書まで作れて申告ソフトとの連携もあるものにする。後から外注に切り替えても入力が無駄にならない申告を誰がやるかで、条件が変わる法人税の申告書まで自分で作るつもりかはい申告書作成機能があるか、申告ソフトへデータを渡せることが必須条件いいえすでに頼む税理士が決まっているかはいその事務所が扱えるソフトから選ぶ。データの渡し方を先に聞くいいえこれから税理士を探す予定かはい利用者の多いソフトを選び、面談で対応可否を確認するいいえ決めきれないなら、決算書まで作れて申告ソフトとの連携もあるものにする。後から外注に切り替えても入力が無駄にならない

会計ソフトの多くは、仕訳を入れて決算書を作るところまでを担当します。法人税・地方税・消費税の申告書そのものを作れる機能は、あるものとないものに分かれます。申告まで自分でやるつもりなら、申告書作成機能を持つものか、申告ソフトへデータを渡せるものを選ぶ必要があります。ここを確かめずに契約すると、決算書はできたのに申告書が作れず、期限直前に税理士を探すことになります。

税理士に頼むと決めているなら、順番が逆になります。先に事務所を決めて、その事務所が扱えるソフトの中から選ぶほうが早い。会計事務所には得意なソフトがあり、対応していないものだと「データを出力して送ってください」というやり取りが毎月増えます。まだ税理士がいないなら、利用者の多いソフトから選んでおけば、後から探すときに選択肢が狭まりません。

役員報酬を決めた後、毎月と毎年に何が残るか

社員がいなくても、社長ひとり分の給与計算は毎月あります。報酬額から社会保険料と源泉所得税を引いて、手取りを振り込む。引いた源泉所得税は納付書を作って納めます。まとめて納める特例を使っている会社でも、納付の月には必ず作業が発生します。年末には自分ひとり分の年末調整と、市区町村や税務署へ出す書類があります。

ここで見るのは、給与の機能が同じソフトの中にあるか、別契約になるかです。別契約でも困りませんが、金額を二か所に入れる手間と、片方だけ直して数字が合わなくなる事故が起きます。一人分の給与計算は電卓でもできるので、給与機能を付けずに仕訳だけ手で入れる選び方もあります。どちらが楽かは、社会保険に入っているかどうかで変わります。

通帳とカードの明細をどう取り込むか

取引が少ないから手入力でいい、という判断はよく分かります。ただし現実には、記帳は月末に後回しになり、決算前に一年分の通帳をめくることになります。銀行口座とクレジットカードをソフトに連携させておけば、明細が自動で入ってきて、あとは科目を選ぶだけになります。通帳記入のために銀行へ行く用事もなくなります。

確認するのは、自分の法人口座がその連携に対応しているかです。地方銀行や信用金庫、ネット専業銀行では対応状況に差があり、法人向けのインターネットバンキング契約が前提になることもあります。契約前に、ソフト側の対応金融機関一覧で自分の銀行名を探してください。ここが対応していないと、連携を売りにしているソフトを選んだ意味が半分なくなります。

電子帳簿保存法とインボイスで最低限そろえるもの

メールやウェブでやり取りした請求書・領収書は、データのまま保存する扱いになっています。一人社長でも例外ではありません。フォルダに日付と取引先名を付けて並べる運用でも成り立ちますが、ソフトに証憑を保存する機能があれば、仕訳と証憑が紐づいて後から探せます。税務調査で「この支払いの根拠は」と聞かれたときに、その場で出せるかどうかの差です。

インボイスについては、自社が登録している場合、発行する請求書に登録番号などを載せる必要があります。受け取る側としては、登録番号のある請求書とない請求書で消費税の扱いが変わるため、仕訳のときに区別できるソフトだと後の計算が楽になります。制度の細かい条件は変わることがあるので、記事末尾の公式ページで最新の内容を確認してください。

後から人が増えたり、税理士が変わったときに困らないか

一人社長のうちは何でも回りますが、アルバイトを一人雇った時点で給与計算の対象が増え、年末調整の相手も増えます。そのときにソフトを乗り換えるのは面倒です。今は使わなくても、従業員の給与に対応できるプランがある製品かどうかは見ておいたほうがいい。

税理士や記帳代行に同じ画面を見せられるか、権限を分けて招待できるかも確認点です。招待できないソフトだと、毎月データを書き出して送る作業が固定で残ります。事務所を変えるときも、同じソフトを使っていれば引き継ぎは会話だけで済みますが、独自形式で溜め込んでいると、過去の仕訳を移す作業から始まります。

料金はどこで見比べればいいか

個人事業主向け 最安プランの年額freee会計 スターター 11,760円、やよいの青色申告 オンライン セルフプラン 11,800円、マネーフォワード クラウド確定申告 パーソナルミニ 10,800円個人事業主向け 最安プランの年額 (税抜)freee会計 スターター11,760円やよいの青色申告 オンライン セルフプラン11,800円マネーフォワード クラウド確定申告 パーソナルミ10,800円
出典: freee会計(個人事業主向け) / やよいの青色申告 オンライン(個人事業主向け) / マネーフォワード クラウド確定申告(個人事業主向け)(2026-07-27 時点に公式ページで確認)。制度・料金は改定されます。最新は公式ページをご確認ください。

価格帯が分かれる理由はだいたい決まっています。申告書まで作れるか、給与や請求書の機能が含まれるか、電話やチャットのサポートが付くか。一人社長なら安いプランで足りることが多い一方、決算を初めて自分でやる年はサポート付きにしておくと、詰まったときに止まりません。

比較するときは、月ごとの表示額だけでなく、年払いにしたときの差と、必要な機能を足した後の合計で見てください。安いプランを契約して、後から給与や申告のオプションを足して結局上位プランと変わらない、というのはよくある話です。金額はプラン改定で動くので、最新の料金は各社の公式ページで確認してください。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

会計ソフトを入れず、記帳を丸ごと税理士に任せるのはどうですか

通帳のコピーと領収書を毎月渡す形でも成り立ちます。ただし数字が手元に返ってくるまで一、二か月遅れるので、資金が細い時期に自分の残高感覚だけで判断することになります。渡す側の作業もゼロにはならず、封筒に詰めて送る手間は毎月残ります。事務所側がソフトの閲覧権限をくれる契約なら、記帳は任せて数字は見る形にできます。

期の途中でソフトを乗り換えても大丈夫ですか

できますが、期首から始めるほうが手間が少ないです。期中に移す場合は、期首残高を手で登録し、それまでの仕訳をインポートするか、旧ソフトで期末まで走らせて新期から新ソフトに切り替えます。決算月の直前に移すのは避けたほうがいい。試算表の数字が合わない原因を、決算作業と同時に探す羽目になります。

役員報酬の額を変えたら、ソフト側で何をしますか

給与の登録額を変え、源泉徴収する税額が変わるので設定を見直します。加えて、役員報酬は原則として期の途中で自由に増減できない扱いなので、変更の時期と株主総会・取締役の決定の記録を残しておく必要があります。ソフトの操作より、その議事録が後で効いてきます。