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製造業の面接で聞いてはいけないこと、代わりに何を聞くか

公開 2026-08-28 · 採用・求人

面接でこちらが何を聞いたかは、応募者側にはよく覚えられている。工場の面接で世間話のつもりで「ご家族は何をされているんですか」と聞き、その日のうちにハローワークへ相談が入る、というのは実際に起きる。質問の線引きは面接官の感覚ではなく、その質問が仕事の遂行に必要かどうかで決まっている。製造業の場合は交替勤務や有資格作業があるぶん、聞くべきことも聞き方を間違えやすいことも多い。

面接の質問に線が引かれている理由

職業安定法には、求職者の個人情報を業務の目的の達成に必要な範囲で集めるという考え方が置かれている。これに沿った指針で、社会的差別の原因になるおそれのある情報は原則として集めないことになっている。つまり「聞いてはいけない質問リスト」が先にあるのではなく、仕事に必要かどうかという一本の基準があって、その外にあるものが全部だめだという構造になっている。だから言い換えても抜け道にはならない。

実務で怖いのは行政処分より前の段階だ。応募者が地域の同業に話す、口コミサイトに書く、ハローワークに相談が入って求人の内容確認の連絡が来る。人が採れない工場でこれが起きると、次の募集にそのまま跳ね返る。面接は評価する場でありながら、同時にこちらが評価されている場でもある、というだけの話でもある。

聞いてはいけないのはどこまでか

聞いていいか迷ったときの見分け方答えによって配置や任せる作業が変わるか → はい: 業務上必要な確認として聞ける。求人票に書いた条件(交替・残業・立ち作業)の可否を確かめる質問か → はい: 条件を先に示してから可否だけ聞く。本人が変えられない属性(出身・家族・信条)に触れるか → はい: 聞かない。言い方を変えても聞かない。いずれにも当てはまらない場合: 迷う質問は面接の質問シートから外し、入社後に必要になった時点で目的を説明して確認する聞いていいか迷ったときの見分け方答えによって配置や任せる作業が変わるかはい業務上必要な確認として聞けるいいえ求人票に書いた条件(交替・残業・立ち作業)の可否を確かめる質問はい条件を先に示してから可否だけ聞くいいえ本人が変えられない属性(出身・家族・信条)に触れるかはい聞かない。言い方を変えても聞かないいいえ迷う質問は面接の質問シートから外し、入社後に必要になった時点で目的を説明して確認する

典型的に外すべきものは決まっている。並べておく。

これらが問題なのは、答えが仕事の出来と関係しないのに、地域や家庭で人を選り分ける材料になってしまうからだ。悪意がなくても同じで、面接官が「うちは家族の理解が要る職場だから」と善意で聞いても、聞かれた側には選別と映る。

一番危ないのは緊張をほぐす雑談から入る形だ。「近くにお住まいですか」は通勤時間を知りたいだけのことが多いが、住まいの話に入ると持ち家かどうかまで流れていく。通勤を確認したいなら、通勤手段と片道の所要時間、冬季や夜勤明けの移動に支障がないか、と目的を絞って聞けばいい。目的を言葉にしてから聞くと、質問はほぼ自動的に許される形になる。

体力と健康は、病歴を聞かずにどう確かめるか

製造業の面接で最も判断を誤るのがここだ。腰を痛めた人に重い部材を持たせたくない、という現場の心配は正しい。ただし「腰は大丈夫ですか」「持病はありますか」から入ると、健康状態を理由に落としたという話になる。順番を逆にする。作業条件を先に具体的に示して、続けられるかを本人に答えてもらう。

示すのは、一日ほぼ立ち作業であること、台車での運搬があること、防じんマスクや保護具を着けた状態で作業する工程があること、夏場の工場内の暑さ、深夜帯の勤務。ここまで言ってから「この条件で働けますか、難しい部分があれば教えてください」と聞く。本人が持病や障害を申し出てきたら、そこからは配慮の相談として、どの工程なら任せられるかを一緒に詰める。申し出を聞いた瞬間に不採用へ動かすと、聞いた意味がなくなる。

健康そのものの確認は、雇い入れる際の健康診断に回すのが筋だ。面接で判断しようとするから無理が出る。目視検査の工程で色の識別が要るなど、業務に直結する要件がある場合は、求人票の段階で作業内容として書いておくと面接で切り出しやすくなる。

交替勤務と残業は、面接で言い切っておく

求人票に書いたことを、口でもう一度言う。二交替か三交替か、交替の周期はどうなっているか、繁忙期にどれくらい残業が出るか、土曜の稼働があるか、シフトの希望はいつまでに誰へ出すのか、有休を取るときの段取り。これを曖昧にしたまま入れると、日勤のつもりだった人が最初の交替で辞める。求人を出し直す手間と、教えた分の時間がまるごと消える。

聞いていいのは可否と条件だ。「夜勤に入れますか」「月に何回までなら可能ですか」は業務上必要な確認として通る。一方で「お子さんは何歳ですか」「ご主人は反対しませんか」は入ってはいけない側で、しかもこの二つは同じ会話の流れで出てきやすい。可否の答えが返ってきたら、理由を詰めずにそこで止める。

賃金の説明も面接で揃えておく。交替手当や深夜の割増、試用期間中の扱いを口頭でぼかすと、入社後に必ず揉める。地域別の最低賃金は改定されるので、記事末尾の公式ページで現在の額を確認し、就業規則の記載と求人票の条件が食い違っていないかを面接前に見ておく。規程の書き方に迷うときは、同じく末尾のモデル就業規則が参考になる。

資格と経験は、どこまで書類で押さえるか

フォークリフト、玉掛け、クレーン、アーク溶接、研削といし、危険物、有機溶剤の作業主任者。この手の資格を自己申告のまま採用すると、初日に「実は講習は受けていない」と分かって配置が崩れる。面接の場で修了証や免許証の原本を見せてもらい、氏名と種類を確認する。持ってきていない場合は入社前に提示してもらう約束をして、記録に残す。資格の種類によって更新の有無が違うので、有効期限の欄があるものはそこも見る。

経験の聞き方は年数ではなく中身にする。何年やったかは会社によって意味が変わるが、扱った機械、材料、図面の種類、使った測定具は比較できる。ノギスやマイクロメータで実測していたか、図面の公差を読んで判断していたか、段取り替えを自分でやっていたか。この三つを聞くと、同じ「五年」の人でも中身がはっきり分かれる。未経験者を採る前提なら、代わりに入社後に受けてもらう講習と費用負担を先に伝える。伝えていないと、休日に自費で行く話だと思われて辞退される。

外国人が応募してきたら何を確認するか

確認するのは在留カードの記載だけだ。在留資格の種類、就労の可否、在留期間の満了日。資格外活動許可が必要な区分ならその有無も見る。ここを確認せずに働かせると、不法就労を助けた側として会社が問われる。採用後は満了日を管理表に載せ、更新の時期に本人へ声をかける。個人任せにすると期限切れに気付かない。

国籍そのものを採否の理由にはできない。日本語についても、安全表示が読めるか、口頭の指示を復唱できるか、といった業務上必要な範囲での確認にとどめる。会話の流暢さを一般的な評価項目にすると、業務と関係のない基準になる。作業指示をどう伝えるか、掲示物にふりがなやピクトを入れるかを先に決めておくと、面接で確認する範囲も自然に絞れる。

記録の残し方と、聞いてしまったときの立て直し

面接前に決めておく順番1. 求人票の条件を書き出す(交替の形、残業、土曜稼働、有資格作業を並べる)。2. 質問シートを作る(条件の可否と、機械・材料・測定具の経験に絞る)。3. 確認書類を決める(修了証・免許証・在留カードのどれを原本で見るか)。4. 記録の様式と同席者を決める(評価は事実で書き、取り消した質問は中身を残さない)。5. 応募書類の保管と破棄を決める(不採用者の扱いを応募者に伝えられる状態にする)面接前に決めておく順番1求人票の条件を書き出す交替の形、残業、土曜稼働、有資格作業を並べる2質問シートを作る条件の可否と、機械・材料・測定具の経験に絞る3確認書類を決める修了証・免許証・在留カードのどれを原本で見るか4記録の様式と同席者を決める評価は事実で書き、取り消した質問は中身を残さない5応募書類の保管と破棄を決める不採用者の扱いを応募者に伝えられる状態にする

面接の質問は紙にしておく。社長ひとりで面接していると、その日の相手や気分で聞くことが変わり、後から「あの人にだけこう聞いた」という差が説明できなくなる。質問シートを作って、聞いた順にチェックを入れる。可能なら現場の責任者を同席させる。二人いれば、危ない質問が出たときに片方が話題を戻せる。

うっかり聞いてしまったときは、その場で「今の質問は選考と関係ありませんので取り消します」と言って、メモに残さない。取り消した事実だけを面接記録の欄外に書いておく。判断材料にしていないと言える状態を作るのが目的だ。応募書類は採用目的の範囲で保管し、不採用者の書類を返すのか破棄するのかを決めて、応募者に伝えておく。ここを決めていない会社は、机の引き出しに何年分もの履歴書が溜まっている。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

応募者が自分から家族や家庭の事情を話してきた場合、どう扱えばいいですか

こちらから聞いていないのであれば、その場のやり取り自体が問題になることはありません。ただしメモに書き残すと、採否の判断材料にしたと見える資料が社内に残ります。書くのは「夜勤可否について本人から申し出あり」までにとどめ、事情の中身は残さないのが安全です。話を打ち切る必要はなく、聞いた上で評価に持ち込まないという線を面接官同士で共有しておいてください。

採用の前に健康診断を受けてもらうことはできますか

雇入時の健康診断は雇い入れる際に事業者が行うもので、選考のためのふるい分けに使うことは想定されていません。応募段階で病歴の申告や体力測定を求めると、健康状態を理由に落としたと受け取られやすくなります。工程上どうしても確認が必要な項目がある場合は、何の作業のためにどの項目を見るのかを本人に説明できる形にしてから実施してください。

前職の退職理由を掘り下げて聞くのは問題ですか

退職理由そのものは業務適性に関わるので聞いて構いません。ただし答えが人間関係や体調に及んだとき、そこから家庭の状況や通院歴に踏み込むと線を越えます。掘るのは「どの作業でどう困ったか」「同じ状況がこの工場で起きたらどう動くか」までにして、事情の背景ではなく行動を聞いてください。