Misocaからboardへ、切り替えどきの見極め
Misocaで請求書は問題なく出せている。それでも切り替えを考え始めるのは、たいてい書類そのものではなく、その前後が見えなくなったときです。見積を出したまま返事待ちの案件、着手したのに請求し忘れている案件。この記事では、boardに移る価値がある状況と、移るなら時期をどこに置くか、何が引き継げないかを整理します。
どういうときに切り替えを考えるか
Misocaは書類を作って送るところがよくできています。詰まるのはその手前と後ろです。見積を出す、返事を待つ、受注する、作業する、月末に請求する。この流れは画面には残らず、見積と請求が別々の書類として並ぶだけになります。案件が両手で数えられるうちは頭で追えます。増えてくると、見積を出したきり音沙汰のない案件と、納品済みで請求をまだ出していない案件が混ざり、社長の記憶だけが台帳になります。
もう一つの分かれ目が、一つの仕事を複数回に分けて請求する取引です。着手金と完了時、あるいは工程ごと。書類単位で管理していると、その案件でいくらまで請求済みなのかを毎回さかのぼって足し算することになります。月末にこれをやると、必ずどこかで二重請求か請求漏れが出ます。ここが月に何度も起きているなら、案件を単位にした管理へ移る理由になります。
逆に、毎月ほぼ同じ相手に同じ金額を出しているだけなら、切り替えても手間はさほど減りません。困っているのが書類の枚数なのか、案件の把握なのかを先に切り分けてください。
Misocaを続けたほうがいい会社
弥生の会計ソフトを使っていて、請求から記帳までひとつながりになっている会社は、その接続を手放す価値があるかを冷静に見てください。書類作成だけを別のサービスに移すと、売上の仕訳をどう会計側へ渡すかという新しい仕事が生まれます。そこが手入力に戻るなら、案件管理で浮いた時間を記帳で吐き出すことになります。
発行枚数が少なく、見積を出さずに請求だけ出している業態も、切り替えの効果が出にくい側です。boardの強みは見積から請求までを一本の線でつなぐところにあるので、線の片側しか使っていないなら、機能の大半が眠ります。
費用の考え方も両者で違います。枚数で区切る考え方と、使う人数や機能で区切る考え方では、会社の形によって有利不利が入れ替わります。プランの内容は変わるので、最新の料金は記事末尾の公式ページで、自社の発行枚数と使う人数を当てはめて見比べてください。
boardに移ると日々の何が変わるか
いちばん大きいのは、書類が案件にぶら下がる形になることです。見積を作ると、その見積を元に発注書や納品書、請求書を派生させられるので、あとから「この請求はどの見積の話か」を探す作業が消えます。金額を途中で変えたときも、案件を開けば経緯が並びます。
受注済みでまだ請求していない金額が画面上に出てくるのも、Misocaの使い方とは違うところです。月の途中で「今月いくら立つのか」を聞かれて、見積フォルダを開いて電卓を叩く、という作業がなくなります。資金繰りを月次で見ている会社ほど効きます。
一方で、機能が増えるぶん最初の設定項目は多くなります。書類のテンプレート、案件のステータス、担当者の権限。ここを決めずに使い始めると、案件のステータスが人によってばらばらに付き、結局どの案件が生きているのか分からなくなります。移行の前に、自社の仕事の段階を三つか四つの言葉に固定しておいてください。
切り替える時期をどこに置くか
基本は期首です。請求書番号を年度単位で採番している会社が多く、期の途中で移ると番号の連番が途切れます。途切れること自体は違法ではありませんが、あとで一覧を作ったときに欠番の説明を毎回することになります。決算をまたぐタイミングなら、番号の体系ごと新しくしても不自然になりません。
次に外すべきは繁忙期です。移行の一か月は、設定漏れが必ず一つか二つ見つかります。振込先の口座が旧口座のまま入っていた、消費税の端数処理が前と違う、といった類です。取引先から指摘される前に自分で気づける余裕がある時期にやってください。
もう一つ、担当者が増える直前も切り替えどきです。人が増えてから道具を変えると、新しい人が古いやり方を覚え直すことになります。運用を教える相手が増える前に土台を替えるほうが、説明する回数が少なくて済みます。
何が引き継げて、何が引き継げないか
取引先の情報は、どちらもCSVでの出し入れができる形になっているので移せます。ただし項目の並びや必須項目が同じとは限らないので、そのまま流し込めると思わないでください。出力したファイルを表計算で開いて、担当者名や敬称、部署名の入り方をそろえる作業が実際には発生します。ここを雑にやると、送り状の宛名が「御中様」になります。
引き継げないのは過去に発行した書類そのものです。移行前にPDFで保存し、取引先別か年月別のフォルダに落としておいてください。電子で受け渡しした書類は保存の要件が絡むので、置き場所を思いつきで決めず、会計の資料と同じ場所にまとめるのが無難です。
合わせて、次のものは手で作り直すことになります。
- ロゴと印影の画像、書類のレイアウト設定
- メール送信時の文面と署名
- 毎月自動で出している定期的な請求の設定
- インボイスの登録番号や振込先など、書類の固定文言
どれも一度きりの作業ですが、定期請求の設定漏れだけは請求そのものが出ない事故につながります。移行月は、定期請求の一覧を紙に書き出して一件ずつ消し込んでください。
移行までの段取り
順番を間違えると戻れなくなるのは、Misocaの解約だけです。それ以外は前後しても大きな問題になりません。まず新旧を並行して動かし、締めを一度またいでから旧側を止めます。並行期間中は、どの取引先をどちらで発行するかを固定してください。取引先ごとに決めておかないと、同じ相手に二通届きます。
試すときは、実在する取引先のうち、少し複雑なものを選んでください。分割請求がある、送付先と請求先が違う、郵送を求められる。こういう相手で通れば、あとは楽です。いちばん簡単な取引先で試して安心してしまうと、本番でつまずきます。
切り替えた最初の締めで見るところ
最初の請求を出したら、金額が合っているかより先に、書類の見た目を確認してください。振込先、登録番号、社印の位置、端数の扱い。取引先の経理は前の書式を見慣れているので、様式が変わると問い合わせが来ます。事前に一言添えておくと、その電話が減ります。
次の締めでは、未請求の案件がゼロになっているかを見ます。案件管理に移した意味は、ここで請求漏れが表に出ることにあります。もし出てこないなら、案件を作らずに請求書だけ単発で作る使い方に戻っている可能性が高い。その使い方なら、道具を替えた効果はほとんどありません。
三度目の締めまで問題が出なければ、Misoca側の解約を検討してよい段階です。解約前にもう一度、過去書類のPDFがそろっているかだけ確認してください。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
Misocaを解約したあと、過去に出した請求書は見られなくなりますか。
契約の状態によって閲覧の可否が変わるため、解約前に必ず公式ページの案内を確認してください。実務上は、解約の判断とは切り離して、発行済み書類をPDFでまとめて手元に落としておくのが安全です。控えの保存場所と命名ルールを先に決めておくと、あとで税務調査や取引先からの問い合わせが来たときに探す時間がかかりません。
MisocaとboardをKGB両方動かす期間は、どのくらい見ておけばいいですか。
締めを一度またぐぶんは重ねておくのが無難です。月初の請求だけでなく、月中の入金確認や取引先からの差し替え依頼まで一巡させないと、抜けている設定に気づけないからです。ただし二重に発行してしまう事故が一番怖いので、どちらで出すかは取引先ごとに紙のメモでよいので固定してください。
弥生会計は使い続けたまま、請求書だけboardに移せますか。
書類作成と会計は別々に選べるので、その組み合わせ自体は成り立ちます。問題は売上の仕訳をどう会計側へ渡すかで、ここが手入力に戻ると切り替えの効果が薄れます。連携やデータ出力の対応状況は変わるため、記事末尾の公式ページで現状を確認してから決めてください。