ホーム / 記事一覧 / 会計ソフト
実務

マネーフォワードからfreeeへ、動く月はここで決まる

公開 2026-09-12 · 会計ソフト

マネーフォワード クラウドからfreee会計へ替えたいという相談で、結果を左右するのは機能の比較より時期です。同じ移行作業でも、決算と申告が終わった直後にやるのと期の真ん中でやるのとでは、手を動かす量がまるで違います。まず、いつなら軽く済むのかを決めてください。

期の途中で切ると、決算のときに両方を開くことになる

会計ソフトの入れ替えで一番厄介なのは、帳簿が期の途中で切れることです。切替日より前の仕訳は旧ソフト、後は新ソフトに入る。決算では期首から期末まで通した総勘定元帳と試算表が必要なので、両方から出して突き合わせる作業が発生します。銀行に出す試算表も一枚では作れません。

もう一つは期首残高の入力です。期中に切り替えるなら、切替時点の全勘定の残高を入れ直す必要があり、売掛金・買掛金・未払金は取引先ごとの内訳まで持ってこないと、その後の入金消込が合わなくなります。前期の決算書には取引先ごとの内訳が載っていないので、旧ソフトの補助元帳を見ながら手で打つ。ここで一件でも落とすと、入金が来たときに相手が特定できません。

期首に合わせれば、入れるのは前期末の貸借対照表の数字だけです。決算書に載っている金額をそのまま写せるので、確認も税理士に頼みやすい。期首でやるかどうかで、作業は別物になります。

いつ動くのが一番軽いか

切り替え時期の絞り込み融資の申込や審査が進んでいますか → はい: その案件の資料を出し終えるまで動かさない。決算と申告が終わった直後ですか → はい: 新しい期の最初の取引から入れ替えるのが一番軽い。給与や請求もマネーフォワードで使っていますか → はい: 会計だけ先に抜かず、周辺まで含めて順番を決める。掛売の取引先が多く、入金管理を会計側で見ていますか → はい: 期中は避け、次の期首まで待つ。いずれにも当てはまらない場合: 迷う場合は切り替えを期首に置いたまま、試用と口座連携の確認だけ先に進める切り替え時期の絞り込み融資の申込や審査が進んでいますかはいその案件の資料を出し終えるまで動かさないいいえ決算と申告が終わった直後ですかはい新しい期の最初の取引から入れ替えるのが一番軽いいいえ給与や請求もマネーフォワードで使っていますかはい会計だけ先に抜かず、周辺まで含めて順番を決めるいいえ掛売の取引先が多く、入金管理を会計側で見ていますかはい期中は避け、次の期首まで待ついいえ迷う場合は切り替えを期首に置いたまま、試用と口座連携の確認だけ先に進める

最も軽いのは、決算が終わって申告も出し終えた直後です。前期の数字が確定していて旧ソフトを触る用事がなく、税理士とのやりとりも一段落している。この時期なら、新しい期の最初の取引から新しいソフトに入れ始められます。

すでに期首を過ぎてしまった場合は、次の期首まで待つか、月次締めのタイミングで区切るかの判断になります。現金商売が中心で売掛先が数えられる程度なら、期中でも回ります。掛売の相手が多く、請求と入金の管理を会計側で見ている会社は、待ったほうが安全です。

決算月が近いなら、切り替えは期首に置いたまま、試用だけ先に始めてください。使っている銀行やカードの連携が取れるか、自動で仕訳を提案する仕組みが自社の取引に合うかは、実際のデータを入れてみないと分かりません。無料で試せる範囲と契約後の条件は記事末尾の公式ページで確認してください。

動かしてはいけない時期はどこか

融資の申込中と審査中は避けます。銀行に試算表や資金繰り表を出している途中で会計ソフトが替わると、数字の出所と様式が変わり、担当者への説明が増えます。前期と同じ形の資料が出せないというだけで、話が止まることがあります。折り返しの継続融資を予定しているなら、その申込が終わってからです。

年末調整の時期と確定申告の時期、それに自社の繁忙期も外します。給与や請求をマネーフォワードでまとめて使っている会社は、会計だけ替えても作業が重なる時期であることは変わりません。移行の手戻りに対応できる余力がある月を選んでください。

電子帳簿保存法への対応やインボイスの運用を社内で変えた直後も、間を置いたほうがいい。運用が固まる前にソフトを替えると、不具合が出たときに手順の問題なのかソフトの問題なのか切り分けられなくなります。

何が引き継げないか

仕訳データはCSVで出して取り込める場合がありますが、そのまま全部が乗ると考えないでください。勘定科目の名称、補助科目、部門やタグの持ち方は両者で設計が違うので、どの科目をどこへ寄せるかの対応表を自分で作る作業が必ず出ます。ここを税理士と先に決めておくと、決算で科目を組み替える手間が消えます。

設定として手で作り直すことになるのは、次のあたりです。

入力画面の作りも違います。freeeは収入と支出の「取引」を登録して裏側で仕訳が立つ流れ、マネーフォワードは仕訳帳や振替伝票の画面から入る流れが中心です。どちらが優れているという話ではなく、簿記に慣れた経理担当は前者で最初つまずき、簿記を知らない社長は後者で止まる。毎日入力するのが誰なのかで、体感はほぼ決まります。

税理士と周辺サービスの都合を先に聞く

顧問税理士に確認するのは、freeeで決算まで組めるかどうかです。事務所の申告ソフトへの取り込み方が変わると、こちらが入力しても事務所側で作り直しになり、二度手間の分が顧問料に跳ねることがあります。対応の可否と作業分担を、切り替えを決める前に聞いてください。

給与、勤怠、請求書、経費精算をマネーフォワードで併用している場合は、会計だけ抜くと連携が切れます。毎月自動で入っていた給与仕訳が手入力に戻る、請求書の発行データが会計に流れなくなる、といった形で戻ってきます。会計単体で移すのか、周辺までまとめて移すのか、順番を決めてから動いてください。

従業員が経費申請や打刻で日常的に触っているなら、その人たちの画面が変わります。締めの直前に画面が変わると申請が止まり、月末の経理が空回りします。切り替える月と、誰にいつ知らせるかを先に押さえておく。

切り替え当日までの段取り

移行の進め方1. 決算・申告の完了を確認(前期の数字が動かない状態にしてから始める)。2. 今の使い方を棚卸し(使っている機能、連携している他サービス、触る人を書き出す)。3. 口座連携と科目の対応表を作る(勘定科目・補助科目・部門タグの寄せ先を税理士と決める)。4. 期首残高を入れる(期首なら前期末の貸借対照表、期中なら補助元帳から内訳まで)。5. 最初の締めを両方で回す(残高と月次の数字が旧ソフトと合うか突き合わせる)。6. 帳簿と証憑を出してから解約(元帳・仕訳帳・固定資産台帳と添付書類を手元に保存)移行の進め方1決算・申告の完了を確認前期の数字が動かない状態にしてから始める2今の使い方を棚卸し使っている機能、連携している他サービス、触る人を書き出す3口座連携と科目の対応表を作る勘定科目・補助科目・部門タグの寄せ先を税理士と決める4期首残高を入れる期首なら前期末の貸借対照表、期中なら補助元帳から内訳まで5最初の締めを両方で回す残高と月次の数字が旧ソフトと合うか突き合わせる6帳簿と証憑を出してから解約元帳・仕訳帳・固定資産台帳と添付書類を手元に保存

手順そのものは単純で、決算と申告の完了を確認し、今の使い方を棚卸しして、新しい側で口座連携と科目の対応を作り、期首残高を入れ、最初の締めを両方で回して残高が合うか確かめてから旧契約を止める、という流れです。危ないのは最後の二つを飛ばすこと。合わないまま解約すると、比べる相手が消えます。

解約の前に、総勘定元帳、仕訳帳、固定資産台帳、そして保存している証憑を手元へ出しておいてください。解約後は閲覧もダウンロードもできなくなることがあり、帳簿には法定の保存期間が残ります。ソフトを替えたことは保存義務の言い訳になりません。

料金を比べる前に、使っている機能を数える

個人事業主向け 最安プランの年額freee会計 スターター 11,760円、やよいの青色申告 オンライン セルフプラン 11,800円、マネーフォワード クラウド確定申告 パーソナルミニ 10,800円個人事業主向け 最安プランの年額 (税抜)freee会計 スターター11,760円やよいの青色申告 オンライン セルフプラン11,800円マネーフォワード クラウド確定申告 パーソナルミ10,800円
出典: freee会計(個人事業主向け) / やよいの青色申告 オンライン(個人事業主向け) / マネーフォワード クラウド確定申告(個人事業主向け)(2026-07-27 時点に公式ページで確認)。制度・料金は改定されます。最新は公式ページをご確認ください。

プランの差は、使える機能と利用人数で決まります。だから先に、部門別の集計、承認の経路、請求書の発行、経費精算、給与計算のうち自社が実際に使っているものを書き出してください。使っていない機能まで含んだ上位プランを比べても、判断の材料になりません。最新の料金とプランの区切りは、記事末尾の公式ページで確認してください。

もう一つ見るのは、年払いにしているかと、途中でやめたときの扱いです。並走期間は両方に費用がかかる前提で組むことになるので、並走を短く終わらせるには最初の締めを速く回すしかない。契約の更新日が近い会社は、更新を待つほうが無駄が出ません。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

期の途中で切り替えてしまった場合、期首残高はどこから拾えばいいですか

前期の決算書の貸借対照表と勘定科目内訳明細が基本で、そこに載らない取引先ごとの売掛・買掛の内訳は旧ソフトの補助元帳から拾います。切替時点の残高を入れる方式にすると、期首から切替日までの仕訳が新しい側に存在しないため、月次推移を年間で見たいときは旧ソフトの試算表を並べて保管しておく必要があります。手で入れる箇所が増えるので、入力する人と確認する人を分けておくと漏れに気づけます。

切り替えたら、マネーフォワードの契約はすぐ解約していいですか

解約するとデータの閲覧やダウンロードができなくなる場合があるため、総勘定元帳・仕訳帳・固定資産台帳と、アップロード済みの領収書や請求書の控えを先に手元へ出してください。帳簿書類には法定の保存期間が残り、ソフトを替えたことは保存義務を免除する理由になりません。解約の申し出方法や請求の締まり方は契約形態で違うので、記事末尾の公式ページで確認してください。

顧問税理士がfreeeを使っていない場合はどうなりますか

事務所用のアカウントを招待して閲覧・修正だけ担ってもらう形なら対応できることが多く、問題になるのは決算と申告をどちらの側で組むかです。事務所の申告ソフトへの取り込み方が変わると、事務所側の作業時間が増えて顧問料の話になることもあります。切り替えを決める前に、決算をどう進めるかだけは口頭で確認しておいてください。