美容室の勤怠管理システム、練習時間と面貸しで決まる
美容室の勤怠でもめるのは、だいたい二か所です。閉店後の練習をどう扱うかと、面貸し・業務委託で入っているスタイリストを同じ枠で管理してよいのか。ここを決めないまま製品を比べても、機能表の細かい差ばかり気になって決まりません。順番を逆にします。
導入を検討する前に決めておくこと
比較サイトを開く前に、紙一枚でいいので「うちはどこからが仕事か」を書き出してください。これをやらずに製品から入ると、無料期間のあいだに設定が終わらず、そのままタイムカードに戻ります。実際、導入が止まる店の多くは機能が足りなかったのではなく、店の中で線が引けていなかっただけです。
美容室で曖昧になりやすいのは、次のあたりです。並べてみると、ほとんどが営業時間の前後にはみ出している作業だと分かります。
- 開店前の掃除、タオル畳み、朝礼
- 閉店後の片づけ、薬剤やカラー剤の補充
- 撮影やSNSの投稿作業
- 閉店後の練習、モデル施術
- 店外の講習会やメーカーのセミナー
それぞれについて、労働時間に入れるのか、入れるなら誰の指示で始まるのかを決めます。決めた内容がそのまま「打刻の区分をいくつ用意するか」という要件になります。ここが決まっていれば、製品選びは急に単純になります。
閉店後の練習は労働時間に入るのか
判断の軸は、参加が事実上強制になっているかどうかです。店長が日を指定して全員を集める、出ないと指名の割り振りや評価に響く、その場で先輩が技術を指導している。こういう形なら、名目が自主練でも指揮命令の下にあると見られる可能性が高い。逆に、店を開放しているだけで、来ても来なくても何も変わらないなら扱いは変わります。ここは店の実態次第で、書類上の呼び方では決まりません。
実務でやることは、白か黒かを今すぐ決めることではありません。練習を営業時間の勤務と別区分で打刻できるシステムを選び、まず実態を数字で見えるようにすることです。誰が週にどれだけ残っているかが出てくれば、練習を早番の空き枠に移す、月に何回までと決める、といった手が打てます。集計が紙のままだと、この判断材料がいつまでも手に入りません。法令上の考え方は記事末尾の公式ページを確認してください。
面貸し・業務委託のスタッフを同じシステムに入れてよいか
同じフロアで、同じ受付を使って働いていても、契約が違えば管理の仕方も変えなければいけません。業務委託のスタイリストを勤怠システムに登録し、出勤時刻を指定し、遅刻に控除をかける。この運用を続けると、実態は雇用だったと判断される材料が毎日蓄積されていきます。システムのログは日付入りで残るので、あとから「そういう趣旨ではなかった」と説明するのは難しい。
だから要件としては、雇用のスタッフと委託のスタッフを別グループで登録でき、集計表も分けて出せることを見ます。もっと言えば、委託の人はシステムに入れないという選択も普通にあります。人数で課金される製品が多いので、入れないほうが運用も費用も軽くなります。最新の料金体系は各社の公式ページで確認してください。
打刻はどこでさせるか
美容室特有の事情がここに出ます。手はしょっちゅう濡れているし、カラー剤もつく。指紋や静脈で読ませる方式は、朝のバタバタした時間に一発で通らないと行列になります。受付のタブレットに集約する場合は、開店直前とシャンプー台が混む夕方に打刻が重なることを想定しておいてください。
個人のスマートフォンで打刻させるなら、施術中は端末を触れないという前提を置きます。カット中に退勤時刻が来ても打てない。結果として月末に修正申請が山ほど出ます。打刻忘れの修正が、スタッフ側から数タップで申請でき、店長がまとめて承認できるか——ここは機能表の隅に書かれがちですが、毎月の作業量を決めるのはこの部分です。私物の端末を使わせる場合は、通信費の扱いと、退職時にアプリを消してもらう段取りも先に決めておきます。
シフト・締め日・給与ソフトへのつなぎ
美容室は定休日が週の途中に来て、早番と遅番が混じり、アシスタントとスタイリストで所定の時間が違うことがあります。変形労働時間制を採っているなら、その設定が入るかどうかは早めに確認してください。ここが合わないと、せっかく打刻を集めても集計値がそのまま使えず、結局エクセルに貼り直すことになります。
もうひとつ、指名料や店販の歩合は勤怠システムでは計算されません。給与ソフト側の仕事です。勤怠側に求めるのは、締め日で確定した労働時間・残業時間・有給の消化を、使っている給与ソフトが読める形で出せること。純正の連携があるならそれが一番楽で、なければCSVの項目名を合わせる作業が毎月発生します。紙のタイムカードを電卓で足す時間はなくなりますが、代わりに修正申請の承認という新しい作業が増える。この入れ替わりを理解したうえで導入してください。
二店舗目やヘルプ勤務が出たときに何が崩れるか
いま一店舗でも、増える可能性があるなら先に見ておく価値があります。崩れやすいのは、スタッフが別店舗にヘルプへ入った日の扱いです。所属店で集計されるのか、勤務した店に付くのか。店舗ごとの人件費を見たい経営者にとっては、ここが分かれ目になります。
また、店長に承認だけをやらせて、給与に関わる情報は見せたくないという要望はよく出ます。権限を店舗単位・役割単位で分けられるかを確認しておくと、二店舗目のときに作り直さずに済みます。逆に当面ずっと一店舗でやるなら、この論点は無視してかまいません。使わない機能に合わせて選ぶと、設定が重くなるだけです。
結局どこで決めるか
優先順位は決まっています。まず業務委託のスタッフが混在しているかどうか。混在しているなら、登録と集計を分けられることが最優先で、ここを満たさない製品は候補から落とします。次に練習や講習を別区分で記録したいか。三番目に、いま使っている給与ソフトへの渡し方。この三つを満たすものが複数残ったら、あとは打刻方式の相性と費用で決めて構いません。
無料期間があるなら、忙しい週にわざと当ててください。暇な週に試すと、朝の打刻の混み具合も、修正申請の量も分かりません。試すときは全員でなくて構わないので、早番・遅番・アシスタントを一人ずつ入れて、一回分の締めまで通してみる。締めまで通さないと、集計が給与に載る形で出てくるかが分からないままになります。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
閉店後の練習を打刻させると、残業代が増えてしまうのではないですか。
記録を残さないままにしておくのが一番まずい状態です。あとから請求されたときに、店側に反論する材料が何も残りません。まず区分を分けて実態を見えるようにし、そのうえで練習の頻度や時間帯を組み替える、営業時間内の空き枠に移すといった調整をする順番になります。判断の根拠は記事末尾の公式ページで確認してください。
面貸しのスタイリストにも、入退室の記録だけは残してもらいたいのですが。
防犯や鍵の管理が目的なら、勤怠システムでなくても鍵の開閉記録やレジ・予約システムのログイン履歴で足りることが多いです。どうしても同じシステムに入れる場合は、シフトを店側が指定する機能や遅刻控除の機能は使わない運用にしておいてください。使った瞬間に、契約書の中身と実態がずれます。
予約システムやレジと連携できる勤怠システムを選ぶべきですか。
予約表とシフト表は似て見えますが、片方は席と時間の割り当て、もう片方は労働時間の記録で、扱う単位が違います。無理に連携させるより、シフトを予約側に手で反映するほうが崩れにくい店もあります。連携の可否と範囲は製品ごとに違ううえ更新もされるので、候補を絞ってから各社の公式ページで確かめてください。