設備を入れ替えたい — 補助金を前提に計画を組むときの順番
設備の入れ替えは、補助金の使いみちとして最も多い形です。ただ、補助金を使う場合、普段の発注とは順番が変わります。いつもの感覚で「先に押さえておく」と、その設備は対象から外れます。
納期の長い設備ほど、順番の制約が効く
多くの制度で、交付決定より前に契約した経費は対象になりません。一方で、補助事業には実施期間の終わりが決められています。つまり、交付決定を待ってから発注し、その後に納品と支払いまで済ませる必要があります。
納期が数か月かかる設備では、ここが本当に厳しくなります。だから申請の前に、候補の機種の納期を確認しておいてください。納期が実施期間に収まらないと分かったなら、機種を変えるか、その設備は今回の申請から外すかの判断になります。採択されてから気づくと、選択肢がほとんど残りません。
見積は、本体・据付・撤去を分けて出してもらう
設備の見積は一式でまとまってくることが多いのですが、補助金を使うなら分けてもらってください。本体の価格、搬入と据付の工事、既存設備の撤去と処分、そして電源や配管の工事。この区切りで内訳が要ります。
分ける理由は、対象になる範囲が費目ごとに違うからです。本体は対象でも撤去は対象外、という区切り方は珍しくありません。一式のままだと、対象部分だけを取り出せず、申請の段階で作り直すことになります。取引先にとっても、後から分け直すより最初から分けて出すほうが手間が少なくて済みます。
「押さえるだけ」も発注として扱われる
設備の入れ替えで最も多い事故がこれです。納期が読めないから枠だけ確保しておこう、職人の手が空くのが今しかないから日程だけ決めておこう。どちらも現場の判断としては自然ですが、事務局から見れば発注です。
発注日は、注文書の日付ではなく、相手に発注の意思を伝えた時点で判断されます。メールで「この見積で進めてください」と書けば、そこが発注日です。実績報告では契約書と請求書の日付を確認されるので、後から調整することもできません。取引先に日付を書き換えてもらうのは、それ自体が不正になります。
取引先には、最初に事情を伝えておく
付き合いの長い業者ほど、こちらの都合を汲んで先に段取りを組んでくれます。ありがたい話ですが、補助金の案件では裏目に出ます。見積を依頼する時点で、交付決定が出るまで着手しないでほしいと伝えてください。
伝えていなければ、相手に落ち度はありません。そして、相手が資材を手配してしまってから断るほうが、関係を傷めます。あわせて、交付決定がいつごろ出そうかの見込みも共有しておくと、相手も他の仕事との調整がしやすくなります。
支払いの方法まで含めて決めておく
設備の代金は、会社の口座から銀行振込で払ってください。この形なら通帳の記録がそのまま支払いの証拠になります。現金で払ったもの、他の取引と相殺したもの、代表者個人の口座から払ったものは、証明が難しく、対象外と判断されることがあります。
分割払いにする場合も、実施期間内に支払いが完了する形かどうかを確認してください。期間内に払い終えていない分は、対象から外れることがあります。設備の代金は先に全額を自社で払うことになるので、資金の手当ても申請と並行して考えておく必要があります。
相見積の取り方で、後の説明が変わる
一定額を超える発注では、相見積を求められることがあります。設備の場合、同じ機種で複数社から取るのが基本の形です。機種が違う見積を並べても価格の比較にならず、なぜその一社にしたのかを説明できません。
機種を揃えられない事情があるなら、そのこと自体を説明できるようにしておいてください。この地域で据付まで対応できるのがこの会社だけだった、既存の設備との接続の都合で選択肢が限られた。理由が書ければ問題になりません。困るのは、理由を後から思い出そうとしたときです。見積を取った時点でひと言メモを残しておくと、報告のときに助かります。
据付の前と後を、写真で残す
実績報告では、計画どおりに実施したことを示します。設備の場合、現物の写真が有力な材料になります。設置後だけでなく、据付の前の状態も撮っておいてください。
入れ替えの案件では、何がどう変わったのかが説明しやすくなります。古い設備がここにあり、今はこの設備が入っている。この対比があると、報告の文章が短くて済みます。写真は撮り直せません。工事の当日に忘れると、そこで取り返せなくなります。
入れた後に、処分と管理の制約が残る
補助を受けて取得した設備には、管理の義務が付きます。決められた期間内に売却したり、用途を変えたり、廃棄したりするときには手続きが要ります。売って利益が出た場合に、その一部を返す扱いになることもあります。
ですから、数年で入れ替える前提の設備を補助金で入れるのは相性がよくありません。長く使うつもりのものを選んでください。何年間、どういう制約がかかるのかは制度によって違うので、交付決定の通知と公募要領は事業が終わった後も保管しておいてください。
今回の対象に入らない設備が出たとき
読み合わせた結果、入れたい設備の一部が対象外だと分かることがあります。そのときは、対象になる分だけを申請に含めて、残りを自費で進める形にできます。範囲を整理するのは普通のことです。
やってはいけないのは、逆の調整です。補助の対象になるからという理由で、必要のない設備を計画に足す。自己負担が増えるだけで得になりませんし、報告のときに使っていない設備の説明を求められます。金額・補助率・締切・対象経費の範囲は制度ごとに違い、年度でも変わります。記事末尾の公式ページで、自分が申請する制度の公募要領を確認してください。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
古い設備の撤去や処分の費用は対象になりますか
制度によって扱いが分かれる部分です。本体は対象でも、撤去・処分・移設は対象外という区切り方があります。見積を分けて出してもらい、公募要領の対象経費で確認してください。
リースで入れる設備は対象になりますか
購入を前提にしている制度と、リースを含める制度があります。含める場合も条件が付くことが多いので、リースを検討しているなら早い段階で公募要領を確認するか、事務局に問い合わせてください。
中古の設備でも申請できますか
認めない制度が多くありますが、条件付きで認める制度もあります。認められる場合でも、価格の妥当性を示す資料を求められることがあります。中古を前提に計画するなら、必ず事前に確認してください。