国の補助金と自治体の補助金は、何が違うのか
補助金を調べ始めると、国のものと自治体のものが同じ一覧に並んで出てきます。ところがこの二つは、規模も競争率も申請の重さも別物です。どちらを狙うかで準備の量が変わるので、先に違いを押さえてください。
規模が違えば、通りやすさも違う
国の制度は対象の範囲が広く、全国の事業者が申請します。そのぶん採択の競争は厳しくなり、事業計画の書き方が問われます。申請の書類も多く、はじめての会社が一人で準備するには重い作業です。
自治体の制度は対象が地域に限られるため、競争する相手の数がそもそも少なくなります。金額は国のものより小さいことが多いのですが、申請の様式も簡素な傾向があります。最初の一件としては、こちらのほうが現実的です。
探す順番
いきなり国の大きな制度を見に行くと、要件の多さで手が止まります。順番を変えるだけで進みが変わります。
自治体は都道府県と市区町村の二階建て
見落とされがちなのが、自治体の制度が二階建てになっていることです。都道府県が出しているものと、市区町村が出しているものは別で、両方に窓口があります。片方だけ見て「うちの地域には無い」と結論を出している会社は少なくありません。
さらに、実際の窓口が自治体そのものではなく、産業振興公社や中小企業支援センターといった機関になっていることがあります。自治体のサイトを見ても見つからず、公社のサイトに一覧がある、という形です。この記事の補助金カテゴリに、主な地域の窓口をまとめてあります。
申請に進む前の確認
制度を見つけたら、書類を書き始める前に確認することがあります。ここを飛ばして書き始めると、途中で対象外だと分かって時間が無駄になります。
先に払って、あとから受け取る
もっとも誤解が多いのがここです。多くの補助金は、採択されたあとに自社が経費を支払い、実績を報告してから交付されます。申請が通った時点でお金が入るわけではありません。
つまり、支払いから入金までのあいだは自社の資金で立て替えることになります。この期間を見込んでいないと、採択されたのに実行できないという事態が起きます。手元の資金が足りないなら、その分の資金調達まで含めて計画してください。
採択されたあとの作業を見込んでおく
申請が通ったら終わりではありません。計画どおりに実行したことを示す報告と、支払いを証明する書類の提出が続きます。この作業は担当者の時間をかなり使います。
とくに、証拠として求められる書類は制度ごとに違います。あとからそろえようとすると、取引先に再発行を頼むことになったり、そもそも出せない書類があったりします。何を残しておく必要があるかは、実行を始める前に公募要領で確認してください。
使いみちが先、制度は後
「補助金があるから何かやろう」という順番で始めた計画は、たいてい途中で止まります。理由は単純で、その事業を本気でやりたいと思っていないからです。審査でも、事業計画の中身は読まれます。制度に合わせて作った計画は、読む側にも分かります。
順番を逆にしてください。設備を入れたい、人を採りたい、販路を広げたい。やりたいことが先にあって、それを後押しする制度がないかを探す。この順番なら、仮に採択されなくても事業は前に進みます。
この考え方は、相談するときにも効きます。窓口で「補助金はありますか」と聞くと一般的な案内しか返ってきませんが、やりたいことを具体的に伝えれば、該当する制度を挙げてもらえます。
相談できる場所を先に見つけておく
制度を自力で全部調べるのは現実的ではありません。数が多く、しかも毎年変わります。地域の商工会議所や商工会、自治体の産業振興の担当部署は、この分野の相談を受け付けています。
申請の書類作成を支援する専門家もいますが、報酬の形はさまざまです。採択された場合に成功報酬を払う形が多く、その割合は事前に確認してください。あわせて、採択後の報告まで見てもらえるのかも聞いておきます。申請だけ手伝って、あとの作業はすべて自社という契約もあります。
公募を逃さないための備え
補助金でいちばん多い失敗は、要件を満たしていたのに公募の期間を知らずに終わることです。多くの制度は毎年ほぼ同じ時期に公募されるので、一度見つけた制度は次の回の目安が立ちます。
調べる時期と実際に動く時期がずれるのが、この分野の性質です。今すぐ使わない制度でも、名前と実施している機関を控えておいてください。翌年に同じ制度を探すとき、ゼロから探し直さずに済みます。
なお、金額・対象経費・締切は年度ごとに変わります。この記事では具体的な数字を書いていません。実際に申請するときは、必ず記事末尾の公式ページから最新の公募要領を確認してください。
不採択だったときにどうするか
審査がある以上、通らないことがあります。ここで多いのが、一度落ちて諦めてしまうことです。多くの制度は毎年公募されるので、次の回に出し直せます。
制度によっては、不採択の理由を教えてもらえることがあります。教えてもらえるなら必ず聞いてください。次の申請でそのまま直せます。理由が示されない場合でも、公募要領の審査の観点に自社の計画書を当てて読み直すと、書けていない項目が見つかります。
一度作った計画書は次にも使えます。作り直すのではなく、指摘された部分だけを直す形にすれば、二回目以降の負担はかなり軽くなります。
税金の扱いも確認しておく
受け取った補助金は、原則として収入として扱われます。全額がそのまま手元に残るわけではない点は、資金の計画に入れておいてください。
制度や使いみちによって扱いが変わることがあり、ここは自己判断が危険な領域です。金額が大きい場合はとくに、申請の段階で税理士に確認してください。採択されてから相談すると、選べる処理が限られることがあります。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
国と自治体、どちらから探すべきですか
自治体からです。競争率が低く、申請の負担も軽い傾向があります。国のものは規模が大きいぶん準備も重いので、自治体で経験を積んでから臨むほうが通りやすくなります。
補助金は必ずもらえるものですか
多くは審査があり、申請すれば必ず採択されるものではありません。また、原則として先に自社で支払い、あとから交付される流れです。資金繰りの計画に入れるときは、この順番を前提にしてください。
公募期間はどれくらいありますか
制度によって大きく違い、短いものもあります。公募が始まってから準備を始めると間に合わないことがあるため、興味のある制度は前年の公募内容を見て準備しておく形になります。金額・要件・締切は必ず公式の公募要領で確認してください。