freeeの値上げ通知、続けるか替えるかの決め方
freeeから料金改定の案内が届くと、たいていの人がまず「じゃあ他に替えるか」と考える。ただ、替えるか続けるかの二択で悩んでも結論は出ない。順番は決まっていて、いま自社が何にお金を払っているかを確かめ、上がったあとの年額を出し、それを移行の手間と突き合わせる。この順を逆にして先に他社の料金表を見に行くと、安いほうに引っ張られて、決算のときに困ることになる。
通知が来たら、自社の契約のどこが上がるのかを見る
料金改定の案内は、全部のプランが一律で同じように上がるとは限らない。プラン本体の月額なのか、利用人数に応じた課金なのか、給与や勤怠、経費精算といったオプション部分なのか。ここを分けずに「値上げされた」とだけ受け取ると、対処の方向を間違える。人数課金が上がったのに解約したユーザーを放置していれば、退職者のアカウントにお金を払い続けることになる。管理画面の契約情報と、届いた案内の両方を並べて、自社に効く行がどこかを指で追ってほしい。
次に見るのは更新のタイミングだ。年払いなら次の更新月まで現行の条件が続くので、比較や試用に使える時間がある。月払いは切り替わりが早いので、考える時間そのものが短い。どちらかで打てる手が変わる。金額そのものは改定のたびに動くので、記事末尾の公式ページで自社のプランの最新の料金を確認したうえで話を進めてください。
替えるか、続けるか。分かれ目は三つ
一つ目は、freeeの中でどこまでやっているか。日々の記帳と口座連携だけなら、他社に移しても再現しやすい。給与計算や年末調整、申告書の作成まで通してやっている会社は話が別で、移行の作業量が一気に増える。二つ目は、税理士や会計事務所が同じ画面を見ているかどうか。事務所側が対応していないソフトを選ぶと、月次のやりとりが紙やPDFに戻り、値上げ分より大きな手間が発生する。
三つ目が、差額と移行の手間の大小だ。ここは会社によって変わる。経理が専任でいて、日中に手を動かせるなら移行は現実的な選択肢になる。社長か事務の人が兼務で、月末の夜に数時間だけソフトを触っているような体制なら、操作を一から覚え直す負担が値上げ分を軽く超える。差額が小さいのに移行に踏み切って、決算前に前のソフトを開き直す──これがいちばんよくある失敗の形だ。
上がったあとの年額を、税理士費用まで含めて出す
比較するときにソフトの月額だけを並べても意味がない。人数分の課金、使っているオプション、他社に移した場合の初期設定を外注するならその費用、事務所側の対応が変わるなら顧問料の増減。これを全部足して、一年でいくらになるかを一枚に書く。月額の差はわずかでも、オプションの構成が違えば年額で逆転することがある。
もう一つ、移行そのものにかかる一時的なコストを見落とさないでほしい。口座とカードの連携を全部つなぎ直し、取引先マスタを入れ直し、過去の残高を合わせる。自社でやるなら土日が何回か消える。その時間を人件費として置いてみると、差額で何年かかって回収できるかが見える。回収に何年もかかるなら、今回は据え置きという判断でいい。
プランを下げて済む会社、下げると詰まる会社
乗り換えの前に、上位プランの機能を本当に使っているかを棚卸しする。申請と承認のワークフロー、部門別の集計、細かい権限設定、経費精算の申請画面。導入したときに一通り設定したものの、実際は社長が一人で承認していて意味を成していない、という会社は珍しくない。使っていないなら、プランを一段下げるだけで今回の値上げは吸収できる。
逆に、下げると確実に詰まる使い方もある。承認の記録をシステムに残していて内部統制の説明に使っている、部門別の損益を銀行に出している、申告書の作成まで同じ画面で完結させている。こうした場合、下げた分の作業がそのまま人の手に戻ってくる。月末に紙を集めて回る時間が復活するなら、値上げを飲んだほうが安い。
他社へ移すとき、何が引き継げないか
仕訳や残高はCSVで持ち出せることが多い。問題はその周辺で、移す前に確認しておく項目はだいたい決まっている。
- 自動で仕訳を作るルールや、明細に付けた学習内容
- 固定資産の取得日や償却の履歴
- 請求書の取引先マスタと、発行済み書類の紐付け
- 給与・年末調整の過去データ
- 電子帳簿保存のために保存してある証憑ファイル
特に効くのが、ソフトごとの考え方の違いだ。freeeは入出金の「取引」を起点に組み立てる作りで、伝票を直接切る発想のソフトとは入力の順番が違う。データが移っても、経理担当の頭の中の手順は移らない。そこを見積もらずに期中で切り替えると、二か月ほど月次が止まる。証憑ファイルも、まとめて落とせるか一件ずつかで作業時間が桁違いになるので、解約する前に必ず取り出し方を確かめる。
動くなら、どの時期に動くか
期首がいちばん楽だ。前期はfreeeで締めて、新しい期から新しいソフトで積み上げれば、途中で残高を切る作業がいらない。期中に動くと、その時点の残高を確定させて開始残高として入れ直すことになり、合わない科目を追いかける仕事が増える。決算直前の乗り換えだけは避けたほうがいい。
並行して動かす期間も先に決めておく。前のソフトを解約した瞬間に過去の閲覧ができなくなると、税務調査や融資の資料づくりで困る。年払いの残りがあるなら、その期間を並行稼働に充てて、必要な帳簿と証憑を手元に落としきってから解約する。順番を守れば、慌てて出力する事態にはならない。
据え置くと決めたら、値上げ分をどこで戻すか
今回は据え置く、という判断はまったく普通だ。ただ、そのまま何もしないと来年また同じ通知で同じ悩み方をする。連携していない口座やカードが残っていないか、紙の領収書を月末にまとめて処理する運用が残っていないか。連携を足すだけで入力が減るなら、値上げ分は作業時間で戻せる。
もう一つ、今回調べたことをメモに残しておく。使っている機能、使っていない機能、他社に移す場合に詰まりそうな箇所。次に改定の案内が来たとき、この紙があるかないかで判断にかかる時間がまったく違う。棚卸しは一度やれば、次からは差分を見るだけで済む。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
値上げの案内が来てから、いつまでに決めればいいですか
期限は契約の更新日で決まるので、まず管理画面の契約情報で自社の更新タイミングを確認してください。年払いなら次の更新まで猶予がありますが、乗り換えを選ぶ場合は試用と初期設定に時間がかかるため、更新日の直前に動き出すと間に合いません。月払いは切り替わりが早いので、まずプラン変更で当座をしのぐ判断もあります。
プランを下げると、これまで入力したデータは消えますか
入力済みの取引や仕訳が消えることは通常ありませんが、上位プランでしか使えない機能で組んだ設定(承認の経路や部門の集計など)は、下げた時点で使えなくなることがあります。下げる前に、その機能で毎月何をしているかを書き出してください。プランごとの機能差は改定に合わせて変わることがあるので、記事末尾の公式ページで最新の内容を確認するのが確実です。
税理士がfreeeを見ている場合、乗り換えの相談は先にすべきですか
先に相談してください。事務所側が対応しているソフトによって選択肢が絞られますし、決算期をまたぐ移行だと事務所の作業が増えて顧問料の話になることもあります。相談のときは「値上げ分をどこで吸収したいか」を数字ではなく方針として伝えると、プラン変更で済む案が出てくることがあります。